以前、ストックホルムの世界遺産「森の墓地(Skogskyrkogården)」をご紹介した際、「美術館と博物館はもうええわ」と、心の叫びではなくガチ叫びする日本人お父さんに会った話をしました。
奥さんと参加した旅行会社のツアーで、市街地の美術館&博物館をまわりまくった1日だったようです。
ストックホルムには商業的観光施設もあれば、地域に溶け込んだ「ありふれた風景的観光地」がたくさんあります。
その中でも最も有名なのが「ストックホルム地下鉄アート」。世界のどこにも存在しない唯一無二の地下鉄美術館です。
昨年の夏ストックホルム訪問時、アートが描かれた全ての駅を訪れ写真撮影を行ないました。
そちらについてはまた専用ページを設けたいのですが、本日は地下鉄アートの基礎知識と無料のツアーについてご紹介したいと思います。
Stockholm Subway Art
Stockholm Subway Art(ストックホルム地下鉄アート)は、地下鉄駅構内やプラットフォームの壁に描かれた、大規模なアート作品群です。
しかし、このアートは観光地として特別な区画に設けられているわけではなく、実際に日常的に地下鉄の乗客が行き交いする場所にあります。
その一般社会にさらっと溶け込んだ姿を初めて見た時は、僕は茫然と立ち尽くしました。誰もが驚くこと必至です。
アートのデザインやコンセプトは各駅で異なり、実際にプロのクリエイターがデザインしたようなものもあれば、子供の落書きのようなアートもあり、見ていて飽きることはないでしょう。
地下鉄アートの始まり
現在ストックホルムにある100の地下鉄駅のうち90を越すアートが存在し、それらは150人以上のアーティストによって作り出されました。
しかしその起源は、観光促進のために最近始まったのではなく、1957年にストックホルム中央駅に初めての地下鉄アートが描かれた所まで遡ります。
それ以来、地下鉄駅構内の壁にアートを描く流れが広がりましたが、その後1970年代以降は、地下の岩状の洞窟にような場所に駅を設け、アートだけでなく “建築物” としてその芸術性に厚みが加えられました。
地下鉄の “ある1つの駅” には、当時掘削業務を請負った職人達が、どのようにプロジェクトを進めたのかを示す写真が飾られています。
その場所に一足踏み入れれば分かりますが、地下深くに作られた地下鉄の駅には、真夏でもひんやりと冷たい空気が充満しています。
そして、四方八方に広がる漆黒の岩場と、それに覆いかぶさるように描かれたカラフルな壁画の組み合わせは、これまで訪れたどんな美術館よりも芸術的な独創性を感じました。
地下鉄アートツアー
ストックホルム地下鉄アートには、鉄道会社 SL が運営する年中無料のツアーが存在します。
地下鉄アートのエキスパート(ガイド)が、アートの歴史、デザイン、なぜその絵画が選ばれたのかなど、1ツアー4〜5の駅に降りて説明をして下さるツアーです。
こちらはグループでの参加は不可で、あくまで個人が参加できるツアーとなっています。ガイドはおもに英語とスウェーデン語だけで進行されるので、それらの言語でも構わない方は参加されてみてはいかがでしょうか。
ツアーに参加の詳細(どのように参加するのかやスケジュール)は、ストックホルムの SL Customer Service にて確認するのが確実ですので、その場所に関してお話ししたこちらの記事もお読み下さい。
*** ストックホルム地下鉄アートの全駅一覧をアップしました。皆さんのお好きなデザインはどちらですか?ご意見お待ちしております。
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