移民や外国人など、国籍マイノリティに寛容な国とされてきたスウェーデン。では「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランズジェンダー)/性的マイノリティの人々に対してはどうなのか?」という質問を受けることがこれまで何度かありました。
スウェーデンでは大学院時代にクラスメートのうち1人がレズビアン、もう1人がゲイ、講師に1人ゲイの方がいました。また、学校外でよく集まって飲んだりする仲間にも、バイセクシャル(レズビアン寄りの)の方が1人います。
当然、僕は LGBT の方に偏見を持つわけもなく、仲良くさせてもらっていましたが、よくよく考えると昔から友人や仕事仲間と、ゲイ居酒屋やゲイバーでよく飲んでいたことを今思い出しました。
東京で働いて頃は、青山にあるゲイのお父さんが経営する居酒屋。現在はもうお店をたたまれたみたいですが、肉じゃがなど信じられないくらい料理が美味しいお店でした。キスされますが。
大阪ではゲイのママ(お父さん)と、くまこちゃん、もりちゃんというおじさん達が店を切り盛りするスナックでよく飲み明かしました。ここリーズナブルでおすすめです(お店の名前を知りたい方はメッセージいただければ)。キスされますが。
今日はスウェーデンの LGBT 事情を、友人達にうかがった話をもとに、ランダムになりますがお話していければと思います。視点はあくまで外国人 Non-LGBT です。
スウェーデンはLGBTの人々に対し寛容なのか?
スウェーデンは LGBT の人々に対して、非常に理解・思いやりのある国だと個人的には感じています。
まず、大学院入学前のことについて話すと、学校側から機密事項として、性別についてや、それにまつわる生活の希望を問う Web アンケートが送られてきました。LGBT の人達に対する配慮が見てとれ、同性婚も認められるスウェーデンならではの気遣いだと感じました。
実際に生活が始まると、冒頭でも言ったように、クラスメートや大学の講師が LGBT でしたが、それについて揶揄したりする人達は1人もおらず、学校生活・大学での就労ともに充実している様子でした。
人それぞれ異なることを尊重するこの社会で、性別が理由で差別するなどの行為はちょっとイメージが出来ない、というのが実際に住んだ者の感想です。
例えば実際、レズビアンの人々は自分のセクシャリティをオープンにし、街中でもカップルで手を繋いで、堂々としている印象があります。無礼を覚悟で、声をかけたレズビアンのカップルは、
「自分達は何も恥じることがないから、男女カップルと同じように振舞っているよ」
とキスをして、スウェーデンでは何不自由ない暮らしが出来ていることを教えて下さいました。
しかし一方で、「ゲイの人々はセクシャリティをオープンにしづらいのかな?」と感じることがこれまで何度かありました。
そういえばこれまでスウェーデンの街中で、1度も交際中だと認識出来る(街中で手を繋いでいたり、キスをしている)ゲイカップルを見かけたことがありません。
ゲイであることはカミングアウトが難しいのか?
ここで思い出すのがクラスメートとの会話です。
クラスメートの1人サヒルは、インドからスウェーデンに移住してきた、20代のゲイ男性でした。彼は学校では自分のセクシャリティを公にはしておらず、一部の人にのみそれを伝えているようでした。
いくら LGBT に理解のある国であっても、わざわざ自分から言うのはやはり気がひけることは察しがつきます。
1度彼と昼食を共にしている時に、LGBT としてのスウェーデンでの生活について聞いてみました。
「スウェーデンは LGBT に理解もあるし、それが原因で就職差別や地域のコミュニティで変な目で見られることはないよ。そもそも僕がこの国に移って来たのは、そういう公平な社会が約束されていることが大きかったから。それからこの国は外国籍の LGBT の人が多いよね。同性婚が認められていることが1番大きいと思うんだけど、そういった多様性を受け入れてくれている事実が、また LGBT の人をこの国に呼び込む流れになっているんじゃないかな?」
あまりゲイのカップルを街中で見ないことについて聞いてみると、
「一般論として、人間ってゲイカップルに一番偏見を持っているんじゃないかな?具体的に言うとレズビアンカップルに対してより、ゲイカップルに対しての方が見る目が厳しいような気がするんだ。だから、自分達のセクシャリティを理解してもらいたいと思う反面、(ゲイカップルを見ることで)他の人に気を悪くしてもらいたくないっていう気遣いなのかもしれないね。スウェーデン人って本当に相手を思いやる人種だから。」
聞いていて非常に切なくなる意見でした。もちろん人によってふるまいは異なるかと思いますが、少なからずそう感じながら、ある意味 “慎ましく” 生きている人がいることを思うと、より一層の深い理解が必要だと思わずにはいられませんでした。
外国籍 LGBT の移住
とはいえ、彼自身スウェーデンでの生活自体には、性別が理由で支障をきたすことはない、と感じているのが実情のようです。
ところで、外国籍 LGBT の人がスウェーデンでパートナーを見つけた場合、いったいどれくらい国籍取得に時間がかかるのか?
サヒルの例を挙げると、彼は2010年にスウェーデンに渡って来て、現地の学校に行き、その後パートナーを見つけ、会社に勤め、大学院に行き… と生活を送るなか、2017年にようやく永住権を取得し、正式にスウェーデン人になれたようでした。
厳密には2015年に申請をし、21ヵ月かかって国籍を取得出来たようです。しかし、これはまだ移民政策が今よりも厳しくない時のことですので、現在はもう少し時間がかかることが予想されます。
激しい恋愛
話にまとまりがなくて本当に申し訳ないんですが、僕の最も近い友人(隣国からスウェーデンに移って来た、レズビアンに近いバイセクシャルの女性)曰く、
「LGBT の人達はスウェーデンでは特に気をつけなければならない!」
のだそうです。どゆこと?と問う僕に返ってきた意外な答えが、
「出会いが多すぎて逆に危険」
なのだそうです。彼女は数年前、交際相手(ブラジル人)に全財産を奪われ飛ばれる(国外逃亡される)という激しすぎる経験をしています。文章に出来ない内容(動画だと「ピーーー」が続きます)なので、ここでは話せませんが、ドラマのような話でした。
さらに次に付き合ったパートナー(モヒカンのクロアチア人)は「祖父がいくつかお城を所有する大富豪」だったそうで、彼女が欲しがる者を全て与えてくれる完璧な人だったそうです。しかし、いざ結婚話になった時、貯金がゼロだということが判明。厳しく問いただすと、大富豪の末裔という話は全て嘘だったことが分かり、「あなたを喜ばせたくて収入と貯金を叩いてプレゼントを送っていた」とカミングアウトされます。怒った彼女は「もう絶交よ!」と別れてしまいます。
「ちょっとええ話やから許したれよ」と僕は思いましたが、嘘をつかれていたことが許せなかったのだそうです。ちなみにその後「ピー」が入るような出来事がまた起こります。
そんなわけで、「スウェーデンは LGBT の人に優しい国だから、よく分からない連中も多いのよ!やになっちゃう!」とプンプンしていました。
ただ、周りの友人は「こいつの見る目がないだけ」と皆口を揃えて言っていました。