今話題のみんなで筋肉体操、僕も先日初めて見ました。

もうさんざん語られていますが本当に異様な光景でした。NHK でマッチョが筋トレするだけの番組。

しかしもっと異様だったのがイケメン役者兼筋肉サックス奏者の武田真治さんより目立つ「村雨辰剛」という名のイケメン白人男性。

しかも肩書きは「北欧庭師」。

「あっ、まさか」。

北欧マニアの感が働きました。やはり彼はスウェーデンから来た人でした(現在は帰化され日本国籍のようです)。

週刊新潮WEB取材班の記事で、彼の生い立ちやバックグランドのことが取り上げられていましたが、その中でスウェーデンの家庭事情が垣間見れるおもしろい部分があったので、今日はそれについて僕なりの考察をお話できればなと思います。

スウェーデンの自由な家族関係

以下は週刊新潮WEB取材班の記事(デイリー新潮)からの抜粋です。

私が4歳の時に両親が別れることを決め、私は母との生活を選びました。スウェーデンの家族関係は極めて自由です。母は結婚し、私は養父と一緒に暮らすようになりましたが、実父にも変わらず会い、父親として育てられました。後に実父も別の女性と結婚したので、私には異父・異母きょうだいが6人います。みんな仲良くやっています。ただ、憧れの対象は養父でした。空軍に勤務し、優しいけれど躾は厳しいという“オヤジ”でしたね

みんなで筋肉体操/村雨辰剛(ヤコブ・セバスティアン・ビヨーク)さん




 

日本ではあまり聞き慣れない非常にオープンな感じですが、スウェーデンでは実はありふれたことのようです。

扶養家族制度が存在しないため、片方の親が子供を引き取り育てなければならない法律上の義務がないのです。

結果、両親が離婚した後も1週間おきにお母さんの家へ行ったり、お父さんの家へ行ったりして生活する子供が少なくないんだそうです。

47%

以前にもお話したようにスウェーデンは世界一福祉が手厚いことで有名です。

男性も育休を取り、ベビーカーをひいて夫婦協力して子育てに励むハッピーファミリーなイメージが強いのではないでしょうか?(僕は完全にそうです)

しかし実は相反して世界で最も離婚率が高い国の1つなんです。

日本でも年々この率は上昇し現在30%を超えていますが、直近の調べではスウェーデンではなんと47%に上っています。

実際僕がウプサラ時代遊んでいたスウェーデン人の友人の8割が両親の離婚を経験していました。

村雨さんはスウェーデン南部の都市 Helsingborg から近い、エルケルユンガという非常に小さな街で育ったそうですが、田舎も都市もこの状況は同じなんだそうです。

しかし、ここで疑問が浮かぶわけです。

福祉が手厚く将来不安が少ないのであればより夫婦関係が良くなり、離婚率は下がりそうなものなのにどうしてこんな結果なんだろう?

そんな疑問を打ち砕いた友人の言葉は「どうして 離婚=ネガティブ なんだ?」というカウンター気味の逆質問でした。

事実婚制度

1988年、スウェーデンでは事実婚制度(サムボ)が施行されました。

ペーパー上婚姻を交わさなかったカップルでも家族関係があるものとして、法律で認められるようになったのです。

この事実婚制度はヨーロッパではそれほど目新しいものではありませんが、婚姻を果たさずとも子供を持ち正式に社会福祉を受けることが出来ます。

SUP46 時代の同僚にもこの制度を利用し、婚姻をしないまま子供を育てている人がいました。

僕が「ユォハズバンド(Your husband)」というと、「マイボーイフレンド(My boyfriend)」 といつも訂正されていたのをよく覚えています。

サムボのメリットは面倒な書類手続き(スウェーデンでは全然面倒じゃないんですが)や費用のかかる結婚式をあげずに、交際の延長線上で家族になれるところにあると彼らから聞きました。

また、論争を生みかねないプリナプシャルアグリーメント(婚前協約=離婚時の財産分与や親権問題などに関する事前の取り決め)を用意する必要がありません。

なぜなら結婚後もお財布は別々で管理し、夫婦・家族でいながら財産は独立したものとして法律上認識されるのです。

言い換えれば離婚時にともなう苦労が軽減され、結果的に安易(という言葉は正しくないかもしれませんが)に離婚という答えが出されがちなんだと友人が説明してくれました。

女性の高い就業率

スウェーデン人カップルが容易に離婚を選ぶことが出来るもう1つの要因が、女性の高い就業率です。

結婚後の女性の就業率

 ・日本:6割程度
 ・スウェーデン:9割5分以上

と圧倒的な差があります。さらに以前お話した通り、スウェーデンでは雇用形態にかかわらず国民全員が平等に社会福祉を受けることが出来ます。子供の教育も大学まで(修士や博士課程も)文字通り無料です。



結果として、両親が離婚しているしていないに関わらず収入や生活環境が安定しやすく、それが率の上昇に拍車をかけているのです。

日本では雇用形態や働く会社によって受けられる恩恵が全く異なってきます。その代表例が社会保険ですが、まだまだ正社員以外のパートやアルバイトなど非正規社員には与えられていないというのが現状です。

ゆえにシングルマザーとして生活を安定させること自体ハードルが高く、スウェーデンのようにはなっていない実態があるのかもしれません(この辺は僕の憶測です)。

手厚い社会保障の弊害

こういったヨーロッパ型の家族情報は「自由で素晴らしい」とよくポジティブに紹介されているのを見ますが、もちろん弊害もあります。

それが僕の友人 Nathalie と以前別件で交わした時の会話です。

非常に考えさせられる内容だったのでシェアさせてもらいます(1年以上前の会話ですが)。

 

Nathalie(スウェーデン人、女性、当時 20歳)

Na=Nathalie / Ta=Tada

Na「Tada はどうして留学先にスウェーデンを選んだの?」

Ta「スウェーデンって小さい国なのに経済がすごい強いやろ?しかも福祉面も安定してて日本では理想的な国ってよく紹介されるんやで。一目でいいからそんな社会を見てみたかったんやな〜多分」

Na「それはそうね。でも日本は全然違うの?」

Ta「スウェーデンとはだいぶん違うね〜。例えば、スウェーデンは大学も無料で、しかも国からお小遣いが出たり、小さい頃は学校で食事が提供されたるするやろ?無料で。日本では親の収入で受けられる教育や生活環境が変わってきたりするから … スウェーデンは凄いよほんまに」

と、ここまではありきたりの会話だったんですが、この後 Nathalie の顔が凄く険しくなり、いつもとは違うトーンで話し始めました。

Na「でもね …、ちょっと言いにくいんだけど、あなたがスウェーデン人じゃないから話すわ。確かにこの国では子育てにかかる費用負担は凄く少なくて、親にとってはいいことだと思うの。みんな学校にも不自由なく行けるしね。でもこの福祉システムがあるから無責任な親がいるのも事実よ。私の両親は私が小さい頃に離婚して、お母さんは他にボーイフレンドを作って出て行ってしまったわ。私は残ったお父さんと暮らしてたんだけど、お父さんもあんまり家に帰って来なくて新しいガールフレンドと忙しかったみたい。ご飯はお家で1人で食べることも多くて、寂しい思いをしたことが多かったわ。周りにも両親が離婚したお家は多かったけど、みんながみんなその後もきちんと家庭が成り立ってるわけじゃないのよ。大人はそう思ってても子供は思ってないこともあるわ。今は昔よりもお父さんと連絡取ったりするけど、子供の頃はずっと大人の人と接する機会が恋しかったわ。だからかもしれないけど私10歳以上年上の男性しか愛せないの」

Ta「… あっ、そうなん?」

Na「そうよ、前の彼氏は15歳上だったし。ところであなたガールフレンドはいるの?」

 

この時の Nathalie との会話は僕にとって凄く印象深かったです。

それは彼女が自分より10歳以上年上の僕に「10コ上以上しか愛せない」と打ち明けたり「彼女いるの?」と聞いてきて「あれ?これ俺いける感じ?」とピンときたからではありません。

完璧だと思っていたスウェーデンの福祉システムや、自由でオープンだと賞賛されてきた婚姻形態にもこうして弊害が生まれていることを知ることが出来たからです。

もちろん みんなで筋肉体操/村雨辰剛さんのようにその後も両親と変わらずいい関係が築けている人たちも多いと思いますが、彼女の言うように全員がそうではないということも認識しておくべきではないでしょうか?

ちなみに僕が感じたピン(「あれ?これ俺いける感じ?」)はかすりもしていませんでした。ピンときてなかったんですね。

離婚=ネガティブではない

また別の友人(男性)からも両親の離婚後、「片方とは疎遠になっちゃったね」と聞いたことがあります。実は彼がカウンター(どうして 離婚=ネガティブ なんだ?)を入れてきた人なんですが、彼は

 ・両親が離婚を前向きな新しい一歩と捉えても、子供としてはやはり複雑だ。

 ・しかし、それでも親にも新たな道を選ぶ権利があり、それがより幸せに繋がるのであれば”離婚=ネガティブ” なものとして捉えるべきでなく、子供であってもその権利は侵害すべきではない。

と、10歳の頃に自分の中で受け止めたのだそうです。

10歳か …。僕はその頃何も考えずローソンのアメリカンドックに大ハマりしていたのを思い出します。

しかし、あらためてスウェーデンの道徳教育の高さがうかがえる友人との会話でした。

今回、村雨辰剛さんの記事を読んだ時に多少なりともスウェーデンの婚姻制度を褒め称えるコメントを発見し Nathalie との会話を思い出しました。

自分のスウェーデン滞在経験から必ずしも良いことばかりでないことをお伝えしたくこの記事を書いてみました。

しかし村雨辰剛さん、イケメンや。