長年 Lund 大学だけでなく、Malmo、Skane 州のビジネス環境、スタートアップ環境の発展に尽力してきた Sten K Johnson 氏。
彼の貢献により、Lund 大のアントレプログラムは他と異なるユニークなキャリキュラムを持つようになりましたが、もう1つそれを実現させた要因が “環境面” であります。
それが Lund に拠点を置く、国内最大規模のサイエンスパーク IDEON の存在です。
サイエンスパーク IDEON
Lund を訪れた時真っ先に感じたのがその街の美しさで、「なんて可愛い街なんだ …」と衝撃を受けたのを覚えています。
都会と異なりゴミゴミしておらず、だからといって何もない田舎というわけでなく、駅周辺にコンパクトシティが形成されているようでした。
小洒落たカフェや雑貨屋さんもいっぱいです。
一方で大学のキャンパスは各地に点在していて、なかなか土地勘を持つのに時間がかかりそうな印象でしたが、その大学キャンパス群を抜けると見えてくるのが Lund が誇る IDEON です。
IDEON は12万スクエアメーターの敷地に、10以上のビルディングが立ち並び、その中に数多くの企業オフィスや研究所が入る、イノベーションの集積地と本国では呼ばれています。
スポンサーとして企業や、ルンド大学、地方自治体などが名を連ね、産官学共同で運営が行われているのが特徴的です。東の Kista、西の IDEON と呼ばれるほどその規模は大きく、Lund =Innovation のイメージが強い要因にもなっています。
入居する企業は Sony Mobile Communication などのグローバル企業から、スウェーデン国内を拠点に置くドメスティック企業、ルンドやマルモを中心に活動するスタートアップなど幅が広く、いずれも新たなテクノロジーの創造に励む企業ばかりです。
IDEON メインビルディング訪問
IDEON は基本的にオープンスペースですので、誰でも入退室が可能です。僕はアポを取らず当日受付で見学したい旨を伝えましたが、問題なく通されました。
Multiple Industry Clusters(多様な産業の集団)と呼ばれるだけあり、IT やバイオテクノロジーなど様々な先進技術を持つ企業が入居していました。
さらにエリクソンやソニーもリサーチセンターを近郊に設け、先ほど言った通りスタートアップ企業と共同でイノベーションの創造に取り組んだりすることも多いようです。
また、IDEON に入居するスタートアップ企業の方と少しお話させていただいたところ、大企業スタッフがスタートアップ企業のメンター的な役割をもつ流れができているんだとか。
スタートアップの持つアイディアが市場でウケるかどうかや、そのアイディアの昇華のためのアドバイスなどを大企業側のメンバーからもらったりと、IDEON 内での交流は年々増え IDEON を中心とした Lund Startup Ecosystem が形成されている様子を語って下さいました。
部屋の中でなく、皆が行き来するホールの一部がピッチコーナーとして設けられ、日々スタートアップメンバーのクイックピッチが催されているそうです。
このように独自のスタートアップエコシステムが形成された産業クラスター IDEON。当然、こういった機関と密な関係を持つルンド大のアントレプログラムは、他とは異なるアクティビティを提供出来ます。
Sten K Johnson Foundation と IDEON とLund University
Sten K Johnson Foundation による後援と、IDEON Startup Ecosystem という2つの強力なバックアップを持つ Lund University MSc Entrepreneurship and Innovation は、他大学と比べ Hands-on Experience の習得に重きが置かれています。
アントレ初日の生徒のクリエイティビティを試すイベントでは、毎年 IDEON 内の実験施設を使い、きちんとタイムキーピングされた環境で成果物を出す構成に。
“If you have been in Lund the last few days, chances are you have bumped into our entrepreneurship students who are competing in our annual entrepreneurial challenge. Each team is given 100 SEK, 48 hours and asked to leverage whatever other resources they can to win the challenge.” Entrepreneurship education at Lund University
その後、100スウェーデンクローナが各チームに与えられ、短時間で新規事業の案を出し合います。このお金を48時間以内でどれだけ増やせるかを試すルンド大名物 Entrepreneurial Challenge です。
このチャレンジは毎年行なわれており、いきなり座学から入る各大学といい意味で大きな隔たりがあると感じていました。