本日の Step up English はシャープ亀山工場の外国人労働者3000人雇止め問題です。つい先日政府が強引な手法で、出入国管理法改正案を通しましたが、不意打ちをくらうかのようなこの問題。
政府発表では現時点における産業機械製造分野の人材不足見込み数は、1万2000人とされています。しかし、景気後退局面で稼働を抑制する必要がある場合、今回のように真っ先に雇い止めの矛先に向かうことが予測されるのが外国人技能実習生。
このシャープの雇止め問題は、改正案に新たな疑問を投げかけました。
原文
-Sharp cuts 3,000 foreign staff, shifting work to China-
Sharp has eliminated the jobs of more than 3,000 foreign temporary workers in Japan as the company moves production of iPhone sensors to a Chinese plant owned by parent Foxconn.
The deep cuts come as Japan debates whether to bring in more foreign workers amid a national labor shortage, and they illustrate how such employment is often at the mercy of manufacturers’ production cycles.
Sharp’s Kameyama plant in western Japan won a contract to assemble sensor components for facial recognition features on the iPhone X, which went on sale in November 2017. The Osaka-based company ramped up hiring of foreign workers, many of Japanese descent, that summer before starting production, only to reverse course this year.
“The layoffs came as a shock,” said a Japanese-Bolivian woman who was one of four foreign workers attending a news conference Monday in Tokyo held by labor groups.
Apple is thought to have procured the iPhone sensor components from Sharp and South Korea’s LG group. But a difficult assembly process led to shipment delays that were partly to blame for shortages when the phone made its debut.
対訳
-外国人労働者3000人削減-
シャープは「iPhone」用センサーの生産を親会社であるホンハイが所有する中国の工場に移管するのに伴い、日本で外国人の期間労働者3000人以上を削減した。
日本では労働力不足で外国人労働者の受け入れを増やすかどうかについて議論が進むなか、今回の大規模な削減が発生した。こうした雇用がいかにメーカーの生産サイクルに翻弄されることが多いかを示している。
西日本にあるシャープの亀山工場は、2017年11月に発売された「iPhone X」の顔認識機能のセンサー部品を組み立てる契約を獲得。大阪に拠点を置く同社は生産開始を控えた17年夏、日系人が大半を占める外国人労働者の採用を増やしたが、今年に入り結局削減した。
労働組合が月曜日(3日)、東京で開いた記者会見に出席した4人の外国人労働者の1人である日系ボリビア人の女性は「雇い止めにショックを受けた」と語った。
アップルはシャープと韓国の LG グループから iPhone のセンサー部品を調達していたと思われる。だが複雑な組み立て工程のせいで出荷が遅れたことが、「X」発売時の(製品)不足の一因になったとされる。
Tada 解説
・temporary workers = 期間労働者
・parent = 親会社。名詞ですが ‘parent Foxconn’ のように名詞の前にくっつけます。
・a labor shortage = 労働力不足。
・be at the mercy of = 〜に翻弄される
・production cycles = 生産サイクル。cycle’s‘ と複数形扱い。
・win a contract = 契約を獲得する
・facial recognition features = 顔認識機能
・ramp up = 〜を増やす。 ramp up production とかもよく言いますね。
・~ of Japanese descent = 日系〜人。an American of Japanese descent、He’s Japanese by descent(奴は日系だ)のようによく使われます。
・coma as a shock = ショックを受ける。
・be thought to = 〜だと思われる。
・procure = 調達する。obtain に代わるカタメのビジネスワードですね。ケーススタディなどでよく見かけました。
・make its debut = 発売する。注意するポイントは Subject にあたる部分が商品そのものとなり、この場合の make は自動詞扱いになるということです。
at the mercy of の意味は “to be in a situation where someone or something has complete power over you”(他人や何かがあなたを完全に支配している状態)とされるようで、日本語では「〜の意のままに」や「〜に翻弄されて」と訳されます。
ここで出てくる mercy というあまり聞きなれないワードは「慈悲」や「幸運」を意味し、kindness や luck の同義語として使われます。大ヒット空手映画 Karate Kid で、敵役のコブラ会のボスがいつも言いますよね “No Mercy!!”(情けは無用だ!)
Source: NIKKEI ASIAN REVIEW/ Step up English (2018.12.12)