前回スウェーデン人の英語習得能力のレポートに関してお話ししました。
LINK【実はめっぽう自信がない?】スウェーデン人の自分の英語に対する評価
データはやや古かったのですが、スウェーデン人で英語を話せる人々は、自分の英語を “Very Good” とあまり思ってないことが分かりました。実際はエクセレント過ぎるのですが… 。
この状況、実は語学能力を示しているだけにあらず、スウェーデンでの就職活動にも関係してきます。
なぜか?
それは多くの企業が Requirement(必要条件)に “日常会話レベルのスウェーデン語” を挙げているからです。現地での就活を成功させるために、本当にスウェーデン語習得が必要か否かを含め、もう少し EUROPEANS AND THEIR LANGUAGES REPORT を掘り下げて見ていきましょう。
実際に日常で英語を使用するのは37%の人のみ
EUROPEANS AND THEIR LANGUAGES REPORT のレポートではさらに、第二言語に英語を挙げた人のうち、“英語を毎日またはほぼ毎日使用する” と答えた人は37%、email や書類作成程度での使用のみと答えたひとは34%という結果になりました。
この数字、英語を普段使う環境にない日本人にとっては高く感じるかもしれません。しかし、1年だけですが様々なシーンでスウェーデン人と英語のみでコミュニケーションを取ってきた僕には、感覚的に凄まじく低い数字なんです。
大学のイベントなどで、地域の割とご高齢の方々(60〜70代)とも話してきたのですが、大袈裟じゃなく皆さん英語が堪能で、感心させられることが多く「普段から英語を使っているんだろうな〜」と勝手に想像していたからです。
しかし、このレポートが云わんとしていることは、たとえ8割のスウェーデン人が状況に応じて問題なく英語でコミュニケーションを図れたとしても、やはり彼らの生活全てが英語で成り立っているわけではなく、また彼ら自身も(当たり前ですが)日々の生活でスウェーデン語が必要と考えているのです。
とりわけ、週40時間の労働時間(重要な会議や商談を含め)全てを英語で乗り切れるのは、たとえ(非ネイティブで)世界一英語が堪能なスウェーデン人でさえ4割にも満たないという結果が、仕事上で母国語の使用が必要になってくることを証明しているのかもしれません。
結果として、スウェーデン国内の求人情報には今でも多くが必要条件に “スウェーデン語” を入れていると考えられます。
7割以上の求人情報はスウェーデン語必須
海外で一般的に就活で利用されることが多い、Linkedin で実際にスウェーデン国内のリクルート情報を見てみると、今現在で107,780件表示されます。
そのうち最初の300件を見てみたところ、Requirement に “スウェーデン語” を挙げている企業は220件にのぼり、7割以上の企業が今でもスウェーデン語必須としてリクルート活動している状況です。
前回お伝えしたように、若い世代のスウェーデン人の英語習得能力は年々高いポジションをキープしており(2018年の高校〜大学生を対象とした英語習得能力調査 The EF English Proficiency Index for Schools (EF EPI-s) では1位)、従業員の世代や、産業などで状況は異なってきます。
スウェーデン語の習得なしに現地就職は難しいのか?
実際、ストックホルムで出会ったテックスタートアップなどでは英語を社内言語とする企業も多かったです。これは IT 人材が世界的に不足するなか、”外部(外国)からの人材受け入れが急務” という業界ならではの事情があるようです。
自分の活動範囲が IT 関連を対象としたスタートアップ施設であったこともあり、多くの外国人がそのセクターで働く様子を見ましたので、IT 分野に関して言えばスウェーデン語必須ではないと思います。
また(スウェーデン人でない)友人の卒業後の現地就職先にはスカンジナビア航空やグローバル展開している産業機器メーカーなど、業界も IT 分野にとどまりません。
1人のクラスメートに就職活動についてうかがってみたところ、「Preferably(なるべく)話せた方が良いが、実際は必須ではなかった」と話していました。ちなみに彼女は今でもスウェーデン語の勉強をしていないそうです。
色々トライしがいのあるスウェーデンの就活事情です。