6月19日に IMF(国際通貨基金)が、「Migration to Advanced Economies Can Raise Growth」という題目で、先進国経済に与える移民増加の影響について取りまとめました。

その中では、「移民の増加は短期的にも長期的にも、先進国の GDP(実質国内総生産)や労働生産性を押し上げる」という数値が発表され、先進国の移民政策の重要性が改めて証明されるかたちとなりました。

今後、生産年齢人口が減少していく日本においては、避けては通れない議題であることは間違いありません。

しかし近年、外国人技能実習生を日本に来る名目で借金漬けにし(日本語学校の費用、仲介手数料、etc)、弱みに付け込んで不当に低い賃金や劣悪な労働環境で働かせるブラック企業の実態が明るみになるなど、この国の移民政策は “控えめに言って「非常に程度が悪いもの」” となっています。

皆さんは移民の受け入れについてどう考えますか?

 30年間で倍増

IMF の調査によれば、出生国以外で移民として暮らす人の数は、2019年世界で約2億7千万人になり、過去30年間で2倍近く増加。

とりわけ先進国では、人口における移民の比率が7%から12%に上昇し、今後も増加し続ける可能性が高いことを示唆しました。



 恩恵とリスク

さらに、過去40年間にわたる各国の経済データを基に IMF が分析した結果、総雇用者に占める移民の割合が1%増えると、

(GDP)
1年後:+0.2%
5年後:+0.9%〜1.5%

増加すると試算を発表しました。

これは、移民の流入で受け入れ国の労働者がより生産性の高い仕事に移り、全体的な労働生産性が上昇。その結果として、移民の受け入れは国民の所得向上につながり、利益は大きいということのようです。

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一方で、労働市場で競合が起きれば自国民の雇用が失われ、短期的には労働生産性低下の恐れがあることを指摘し、各国政府に職業訓練の拡充などで自国民のスキル向上を図るよう対策を求めました。

 移民受入を促す?

Sourse: UN & IMF

IMF が分析した指標は主に3つで、実質 GDP、自国民の雇用、労働生産性となります。

それによると、総雇用者に占める移民割合が1%増えると、

実質GDP
(1年後)↗︎
(5年後)↗︎

自国民の雇用
(1年後)↗︎ or ↘︎
(5年後)↗︎ or ↘︎

労働生産性
(1年後)↗︎ or ↘︎
(5年後)↗︎

となり、自国民の雇用が奪われるリスクはあるものの、 GDP や労働生産性の向上から得る経済的恩恵が長期的には大きいため、先進国の移民受入を IMF が促しているようにも見えました。



 信ぴょう性

僕自身多少はグローバルな生活を数年間送ってきて、グローバライゼーションの正と負の両方を見てきたつもりです。

IMF の算出通り、移民政策で人口が増え経済成長が起こる反面、文化の違いによる人間同士の軋轢や、経済面でも不動産バブルなどで自国民が生活に苦しむ姿も見てきました。これは北米、欧州ともにです。

冒頭申し上げた通り、日本においては今後生産年齢人口が減る中、超高齢社会で毎年数十兆円規模のコスト増が見込まれ、国の存続には移民の受け入れというのは不可避だと考えています。

ただ、その適正な受け入れ規模やかたちというのは自分の中で答えが出ていません。なんとなくこの国 homogeneous(同種の)な文化が、大規模な移民の受入にはそぐわないようにも感じています。

IMF は過去30年のデータを分析し、移民の受け入れが経済的な恩恵を生んできた。そして、それは今後も起こると言っています。

しかし、過去30年は言うなれば「モノづくり」の時代。爆発的に雇用や消費を生んだ時代でした。さらに、労働するにあたり特筆するようなスキルは伴わず、誰もが即戦力のようになれた時代でもありました。

今後30年は「デジタル」の時代。IT システムが既存のインフラや設備をより効率化、自動化するための動きに向かい、新たな雇用の創出や消費(設備投資等)は限定的と考えられています。

さらにそれらの職業に就くためには、高度な IT 知識を身につける必要があり、誰もが職業訓練を受けただけで果たして習得出来るのか? 疑問が残ります。

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移民を受け入れ、彼らに低技能な労働を任せることで、自国民はより高度な知識とスキルを使い高給な職に就ける。それが経済発展に繋がる … という虫の良い先進国の論理自体が、今後は成り立たないような時代が来ていると感じるのは僕だけでしょうか?

移民の受入は不可避な一方、その目的が経済成長という主張に胡散臭さを感じます。