スウェーデンの冬が長いことはよく知られています。しかし長いだけでなく、秋頃は曇りが多く冬本番は暗い(日の出が早く日の入りが遅い)ことはあまり知られていません。

要するにめっちゃしんどいのです。

それゆえに長い冬が終わり春を迎える頃、スウェーデン人は国を挙げて盛大に春を祝います。

どこの国も春になればフェスティバルやパレードが催され、活気が街全体に戻ってきますが、スウェーデン人の春に対するテンションの高さは凄いです。

日本人が花見を楽しみにする熱量の、ざっと倍以上のものを僕は感じました(かなり適当です)。ところで “花見” というワードが出てきましたが、実はスウェーデンでもそれにあたるイベントがあります。Valborg

皆で外へ出てお酒を飲んだりピクニックを楽しみ、最後は大掛かりなキャンプファイヤーを楽しみます。

Valborg はスウェーデン全国で催される公式イベント(市ごとに開催される日程は異なります)ですが、素晴らしいことに国内最大 Valborg はなんと Uppsala なのです。

お花見という美しい言葉とは正反対の、カオス的状況を目の当たりにした僕は10秒でエスケイプしました。


Valborg Uppsala

Valborg Uppsala はこのコスチューム川下り大会から始まります。4人1組になったチームが自作でボートをこしらえ、変装(コスチューム)をして川の急流を下りサバイバルを競います。

大会参加は事前に申し込んでおく必要があり、それも抽選のようです。僕のクラスメートは前年エントリーして実際にボートで下ったそうですが、もう2度としたくない程川の水が冷たかったそうです。

4月後半とはいえ、この時期のウプサラはまだジャケットを着ないといけないほど寒いのです。

言いにくいんですがこのボートイベント、実は思ったほど盛り上がりません。そしてそれは毎年のことなんだと隣のウプサラ生がクールに言っていました。

体を震わせながらボートの急流下を見た後は、少し早めのランチをとります。14時頃から Carolina Rediviva(ウプサラ大メイン図書館)で Valborg を象徴する何かがあると聞きつけたからです。

聞きつけた人に何があるのか尋ねると「何か重大なことがある」と、曖昧かつ好奇心をそそる回答を繰り返します。ですが、とにかく人でいっぱいになるらしく相当早めに到着する必要があるとか。

これは実際に目で見なければと友達行きつけの中華屋料理屋さんへ。

Valborg 当日は市外からも人が押し寄せるため、基本的にどのお店も満員、予約客でいっぱいです。前もって自分でランチを準備してどこかで食べる方がストレスレスで良いかと思います。

僕たちは持ち帰りで道端に立って中華弁当を食べるワイルドさを見せつけました。春なので誰も気にしません。

Uppsala 卒業を誇りに思う人々

そうして13時過ぎぐらいに中華料理屋から Carolina Rediviva へ向かっていると、「うおー!!」です。「なんちゅー数の人や!」と心の中で関西弁が強まります。

この人混みをすり抜けて図書館まで行くわけですが、諦めて帰る人も多いほどぎゅうぎゅう詰めです。気合を入れて行くわけですが、Carolina Rediviva に着くのに20分以上かかりました。

どっと疲れが増します。

Carolina Rediviva では何かの表彰式や、ブラスバンドの演奏、コーラスチームが歌を歌ったりと15時に近づいていきます。

さて辺りを見渡すと、推定70代のお父さんお母さんも白い帽子を被りイベントを楽しんでいます。彼らの帽子には色々なピンが付けられており、帽子もシミが出来たり汚れています。

勇気を出して聞いてみると、その帽子は彼らがかつてウプサラ大学生だった頃受け取ったもので、それからずっと Valborg があるたび毎年もらうピンを付け参加しているんだそうです。

そして15時 …

大きな鐘の音と同時に、2階ステージの方が白い帽子を片手に手をふりだしました。すると地上階の人々も満面の笑みで手を降り出します。めっちゃ笑顔です。

「なんやねんこれ」と思いながらも、僕も満面の笑みで手を振りながらエアー帽子をしました。だんだんと楽しくなってきます。


Valborg 花見(宴会)

「Tada どこいるの?Ekonomikum で飲んでるからおいでよ」そうクラスメートからメッセージを受け取りました。それまで一緒に回っていた友人に少しだけクラス会に顔を出すと告げ、普段勉強している Ekonomikum ビルの方へ行くと …

「なんじゃこりゃぁ!!!!」

ジーパン刑事もびっくりです。人、人、人。どうやらウプサラ中の生徒がここに集まり飲んでいるようです。先ほどの Carolina Rediviva までの人の数もなかなかでしたが、これはその比ではありません。

この状況、皆一時的にそこに立ち寄ったわけじゃありません。酒を飲んでいるんです。当然暴れている者もいます。後日談ですが、殴り合っている学生もいたそうです。

僕はこの状況を見た瞬間、ここで飲む気は全く失せてしまったので、先ほどの友人達に合流すべくダウンタウンのファーストフード店 MAX へ。

スウェーデン最大の Valborg キャンプファイヤー

MAX で晩御飯を調達し、今度はガムラウプサラへ。Valborg Uppsala のフィナーレ(キャンプファイアー)は、ガムラウプサラで行なわれるからです。

ガムラウプサラまでは駅からバスで行きますが、そのバスに乗るのにもまた30分待つほど人・人・人。バスを降りるとたくさんの人々がガムラへ猛ダッシュしています。

「おお〜〜」遠くで今まで見たことないような大きさのキャンプファイアーが始まっています。小学生の時に見たとんど焼きを思い出し、随分と歳を食った自分に涙します。

やがて日が沈んでゆき、「バンっ、バンっ」と音が …

「花火だー!!」

正直花火のクオリティは低かったのですが、盛土の上にいる人とキャンプファイアが幻想的な雰囲気を醸し出していました。

このキャンプファイアは僕が今まで見たもののなかで過去最大でした。歌を歌いながらダンスを踊るアジア人がいたり、非常に楽しいひと時を過ごせました。

間違いなく Ekonomikum ビル前の飲み会より有意義な時間だと思いますので、僕は個人的にこちらをおすすめします。ちなみに、Ekonomikum ビルの向かいに、1日中缶ジュースやヨーグルト、水を配っている人がいました。

Valborg 当日は、こうして無料で食料品を配給しているボランティアの方々をよく見かけました。

宴の後

カオスでした。