新型コロナウイルスの感染が世界中に広がるなか、今年留学を予定されている多くの方が今後どうなってしまうのだろう?と不安なのではないかと思います。
スウェーデン留学では、毎年4月上旬に結果が発表され、その後住まいを探したり、住居許可申請を行なったり、航空券などの手配などの作業が必要になってきます。
しかし、このコロナウイルスの問題で、それらの作業が無駄になるのか?、そもそも今年度中の留学は不可能なのか?、先行きが見えない状況のなか判断するのが非常に難しいはずです。
今日は元スウェーデン留学生の僕が、「現在もし自分が志願者だったら、どう行動するか?」についてお話したいと思います。
現地の状況
当初は対岸の火事状態
3月の上旬に僕は注意喚起の意味で、現地の友人達に現在の日本の状況、スウェーデンで感染者が見つかったことから今後この問題が深刻になることが予想される、というような内容を伝えました。
しかし、その時まだ彼らの多くが、我々と同じく新型コロナウイルスの問題の深刻さを過小評価していた、もしくはこの問題自体を知らないという状況でした。
これは後から聞いた話ですが、彼らの多くが最近までこれまで同様ナイトクラブや、レストラン、パブ、映画館などの人が密集する場所に出入りし、油断していたということでした。
ゆえに、彼ら曰くスウェーデンの医療環境が整っていることもあり、今後も感染者のリポートは増え続けるだろうということでした。
このスウェーデンの深刻な状況と、日本でも感染者数が今後増え続けるという成り行きが留学にどう影響するのかは正直言って未知数です。
スウェーデン自体が日本からの入国を禁止しておらず、このスタンスが今後変わっていくのかどうかが予想出来ないからです。
今後数字で表れる日本
しかし今現在、東京などの大都市で感染者数が爆発的に伸びていない理由は、検査をする体制がそもそも整っていないということが、医療従事者の訴えで明らかになっています。
検査出来る体制を整えたと首相は主張しましたが、そもそもいまだに病院にマスクや防護服が全く足りておらず、安定的に供給される見通しもないと多くの医療関係者が今現在訴えています。
僕はこの国の政治家や官僚の後手後手対応の理由は、「自分達の嘘がばれるのを防ぐため」だと考えていますが、この責任を取りたくない姿勢も今後は続くことが予想され、結果その場その場で必要なアクションが取られず、感染者は増えるはずです。
このことを踏まえれば、日本が “感染者数” の観点でピークを迎えるのはこれから数ヶ月先の話で、その頃にはもう先程言った住居許可申請や、住まい、航空券などの手配が必要になってくる時期です。
満足いく留学とは
イベント自粛が相次ぐ予定
これをうかがったのはスタートアップハブやインキュベーターに勤める友人達で、実際にイベント運営を統括する立場の人達も含まれていますが、当面こういった機関では恒例になっている大規模イベントは開催を見送る予定なのだそうです。
当然、状況が目覚ましく改善した場合、再考する可能性はあると言っていましたが、それでもリスクを考えると、「感染の完全な封じ込めを確認して、数ヶ月経たなければ開催に踏み切るには覚悟がいる」という回答でした。
つまり今年、仮に大学院からオファーをゲットし、大学院側が予定通りプログラム開講を決定し、住居許可が取れて、ビザが発行され、現地で留学生活をスタートすることが出来たとしても、本来得ることが出来た「充実感や満足感」を得ることは、スウェーデン留学に関して言えばかなり難しいのではないかな?と自分自身の経験から予想します。
自分が今年志願者だったら …
そうは言っても、せっかくオファーをゲットしたのに留学を諦めるのは非常に難しい判断かと思います。
しかし、大金をはたいて1年費やしたにも関わらず、満足の得られない留学生生活を送ることも、一方では大きなリスクであると考えることも出来ます。
もし僕が今年志願者で、かつどこかの大学院からオファーを受けていたとするならば、今現在の状況を加味して行なったであろう行動は、「オファーの来年への持ち越し交渉」です。
この「持ち越し」という特別待遇は、通常認められません。
しかし、スウェーデンの多くの大学院ではプログラムの過程で発生した個人的な非常事態、例えば家庭の事情、自身の健康問題で休学せざるをえなくなった場合、翌年以降のセメスターの受講し直しが可能となっています。
実際、僕が留学していた時、前年度に妊娠が発覚した生徒が、翌年にあたる我々のクラスに途中参加というかたちで学業復帰していました。
現在の新型ウイルス問題が世界的な非常事態で、なおかつ日本だけでなく中国や韓国などの他のアジア圏、またスウェーデンへの留学生が多いヨーロッパ諸国でも同様に感染者激増状況であることを踏まえれば、大学院側へのプログラム開講の延期もしくは、オファーの翌年度への持ち越し交渉は十分可能ではないかと思います。
仮に交渉初期に「それは出来ない」という回答があったとしても、悪化が予想される成り行きが学校側へプレッシャーをかける形になり、世界的な緊急事態にも関わらず、オファーを得た志願者の希望に応えない教育機関は、社会的道義に反するのではないか?という議論へと発展することも予想されます。
少なくとも「オファーの持ち越し」を依頼することは、道徳上間違ったことではありませんので、強気で交渉し相手が難色を示した場合には粘り強く食い下がることも必要ではないかと思います。
人によっては、もう会社を退職する準備を進めていたり、個人的な事情で今年留学することが望ましい方も多いかと思います。
しかし、この最悪の状況で現地へ渡り、コストと時間をかけたにもかかわらず、行動は制限され、実戦経験を得る場面に恵まれない留学は終わった後に後悔するのではないかな?と自分の経験を踏まえ思わずにはいられません。
今回、自分自身がスウェーデン留学に関するお問い合わせを受けることも多々あり、自分ならどうするかを本気で考えてみました。
スウェーデンへの渡航が求められる8月中旬までに事態が良く進展するのか悪化するのかも踏まえ、必要な留学準備作業と時間軸を照らし合わせれば、自分には相当「賭け」に近い動きが求められると判断し、「受け取ったオファーの来年への持ち込み交渉」というアクションが、現実的かなと考えました。
もちろん、「もうすでに経験した人間だから何とでも言えるんだろう」と言われても仕方ないです。
ですので、今後の事態の進展を注意深く見極めながら、大学側の指示やアドバイスも踏まえ、みなさんにとって最良の決断が出来ることを心よりお祈りしています。
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