これは以前お話した通り、やはり現地の就活情報を見ると分かるのが、”要スウェーデン語能力” という高いハードルがあるからです。
LINK【スウェーデンで就活】スウェーデン語を話せなくても現地で就職は可能か?
例えば KTH(王立工科大)などの名門大修士課程を修了し、”Data Analyst” としてキャリアをスタートさせた友人達でさえ、 パートタイム扱いでの雇用となりました。本当に難しいようです。
そんななか、1人の知人は大学院卒業後、外国人であるにもかかわらず見事定職に就くことが出来ました。本人は奇跡に近かったと言っていますが、実際いくら稼いでいるのか給与明細を大公開して下さいました。
「完全匿名でよろしく!」との御達示がありましたので、名前や企業名は全て決しています。その前にまずはスウェーデンの所得税について。
基本情報(スウェーデンの所得税)
スウェーデンで所得を得るには、まず税務署が発行する Personal Number の取得が必要になります。所得税は累進課税制が採用され、年収に応じて税率が変わるシステムで、端的に言うと稼げば稼ぐほどたくさん税金を引かれます。
2019年、その率変動のための所得幅に変動があったようです(税率アップの水準が抑えられたようです)。(年収 → 所得税率)
- 0SEK 〜 18,800SEK → 所得税0%
- 18,800SEK 〜 490,700SEK→ 所得税約32%(11~12%郡税+20%市町村税)
- 490,700SEK 〜 689,300SEK→ 所得税約52%(郡税11~12%+市町村税20%+国税20%)
- 689,300SEK〜 → 所得税約57%(郡税11~12%+市町村税20%+国税25%)
2018年時点では468,700SEK から所得税が52%、675,700SEK から57%へ上がるスライドでしたので、税率アップに引っかかる年収額がそれぞれ引き上げられたことになります。
国民の声を吸い上げたことが予想されます。
給与明細
こちらがその知人の給与明細です。「会社にバレたらやばいから、Confidential でお願い。でもサイトに公開していいよ!」とドヤ顔で矛盾したことを言われました。自信があるに違いありません。
まず一番上の赤枠内
- 1101 Manadslon(Salary)
- 1172 Bonus (Bonus)
- Kvantitet(Quantity)
を見ていくと、基本給 42,000SEK に毎月ボーナス 2,100SEK が加算され、この月の支給額は44,100SEKとなります。
ちなみにこの「ボーナスってなに?」と聞くと「心当たりがない」ということでしたので、目標達成などのインセンティブではなく、恐らく手当のようなものだと思います。
そして Kvantitet(Quantity) は労働時間のことのようで、この月彼は 144時間働いたことになります。
日本の法定労働時間は160~180時間程度ですが、実際には月の平均労働時間は200時間~220時間と考えられおります。ですので我々より30%前後労働時間は少ないという計算になります。
次に、下の青枠内 Skatt(Tax) 税金は11,215SEK。細かい内訳は本人も分かっていませんでした。その結果、最終的に支払われた支給額 Utbetalas(Paid) は一番下の赤枠 32,885SEK となりました。
深堀して見るのは難しい?
彼の年収は「(毎月の基本給+手当)×12 +(ボーナス×年3回)」で構成されます。ちょっと待てよ!それならば年収は 689,300SEK を超え、所得税率は57% のはずなのでは!?と気づいた方、鋭いです。
実は今年昇進し給料がかなり上がったそうです。
昨年はもっと所得が低かったため、実際今現在引かれている所得税の税率は低い(約25%)のだそうです。しかしそれでも計算が合わない。
本人も理由はよく分かっていませんでしたが、恐らく子供がいることなどで何らかの控除が受けられていると思われます。正直噂に聞いていたより引かれていないな〜という印象でした(スウェーデンはめちゃくちゃ税金引かれるという話を色んな人から聞いていたからです)。
ちなみにたくさんのスウェーデン人の友人にこれまで所得税率やその内訳等聞いてきましたが、きちんと答えられる人は1人もありませんでした。
我々が手取り額しか気にしないのと同じですね。
少ない労働時間でも高収入
ところでこの知人のケースはかなりまれかもしれません。外国人でありながら、スウェーデン語を話す必要のない100%英語の職場環境、しかも月の労働時間は144時間で家族と過ごす時間を持つことができ、予想される年収は689,300SEK以上。日本円にすると800万円以上です。
彼は僕よりも年上の30代後半なんですが、スウェーデンに渡る前にしっかりとキャリアを積んでいたことが功を奏し、このような素晴らしい生活を得れているのだと思います。
若い内に留学するのを普段すすめていますが、キャリアを積んでからの留学もまたメリットがあることの表れです。
ある意味、「スウェーデンドリーム」ですね。言うまでもなく、彼と僕はハイタッチをして、その晩飲み明かしました。
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