都会へ行くと日本でも時々目にするスウェーデンっぽいものが、「北欧建築調」のカラフルな外壁塗装が施された建物や家です。

淡い色した黄色や緑、赤やオレンジなど、見ているだけで心が和みます。

スウェーデンだけでなく他の北欧諸国では、日本では奇抜と捉えられそうな外壁カラーが目に付きます。

映画「魔女の宅急便」のモデルとなった国だけあって、カラフルに塗装された建物がいくつも並ぶと、空の青さとコントラストが効いて本当に美しいです。

しかし、日本にある北欧建築調の外壁塗装を見てみると、「あれっ?ちょっと本場と違う」と感じることが多いのもまた事実。今日はその理由を元職人でもある僕が解説します。

「スウェーデンのビルがなぜあのような様々なカラーの外壁を持つようになったのか?」

その長年の疑問に答えてくれた友人の話も併せてご紹介します。

 北欧でもスウェーデンのビルはダントツ!?

僕はスウェーデンに留学中、他の北欧諸国へもよく足を運びました。

ヘルシンキ(フィンランド)、オスロ(ノルウェー)、コペンハーゲン(デンマーク)など、主に各国首都を中心に、電車で旅をするのが本当に大好きでした。

今も毎年スウェーデンへは訪れ、可能な限りこれらの国に立ち寄っては放浪していますが、感じるのはやはりスウェーデンの建物は他よりも綺麗ということです。

これは僕がスウェーデン贔屓だから言うのではなく、カラフルさが他の三国はもう少し落ち着いているためそう感じるのだと思います。

少女漫画的表現になりますが、ウプサラからストックホルムへ向かう車窓に、このカラフルなビル群が見えただけで胸がドキドキしたものです。



 市街地も住宅街も一面魔女の宅急便

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「快晴の青空と建物の黄色がスウェーデンの国旗っぽいよな」と、無理くりこじつけながらぶらつくのが楽しいストックホルムの町歩きですが、本当に逆に地味な色の建物がありません。

竹ぼうきにまたがって空を飛んだ気持ちが分かります。

肌色、黄色、オレンジ、赤、薄緑、薄ピンク … と、カラーバリエーションも尽きることありません。建物の色の並びに決まった順番があるわけでもなく、それでいてこんなに美しいのはどうしてなんだろう?

そしてなぜこんなに色の種類がバラバラなんだろう?市街地の高級なビルも住宅街もです。

 スウェーデンの建物の外壁がカラフルなわけ

ある朝親友のビクターと、スウェーデンのロイヤルファミリーが住む森へ散歩へ行った時のことでした。行く先の古い建物や、ロイヤルファミリーの住む建物を見て、ふと北欧の建築物に関する話題になりました。

 

Victor:Tada はスウェーデンのビルやお家の外壁が好きみたいだけど、どうしてこんなにバラバラな色してるか知ってるかい?

—– いや、知らないんだ。そして、まさにそれを知りたいと思ってたところなんだ。

Victor:今から何百年も前の話なんだけど、昔は誰もがこういったカラフルに塗られた建物の所有を認められたわけじゃなかったんだよ。

—– 特権階級みたいなみたいなものだったの?

Victor:近いね。昔は、一部の富裕層の人達が、家や建物を明るい黄色(に近いオレンジとの間みたいな色) にペイントしていたそうなんだ。暗黙の了解で、お金持ち以外は、こういった色の外壁にすることは許されなかったんだよ。

—– そうなんだ!それからお金持ちの間で色んなカラーが増えていったの?

Victor:そうじゃないんだ。時代が流れ、それに憧れた農民層が「自分達も外壁を塗装する」と薄い緑にしたり、他の労働者階級の人が赤などを選んで色の違う家や建物が広がっていったんだよ。

それでも昔の名残から、富裕層以外の人は黄色だけは避けて塗装していったみたい。もちろん今は誰もが色を選ぶ権利があるんだけど、昔はスウェーデンでも支配者層とそうでない層に分かれていたんだ。実際この国は昔貧しい国だったしね。

—– 確かに、ストックホルムの街を歩くと、同じ色した建物が並んでいるのを見ることはないよね。一応隣のビルの持ち主に気を使っているのかもしれないね。

Victor:そうだね。そのおかげでこんなに景観の素晴らしい街並みが出来たから、その昔の慣わしが功を奏した感じだね。



 日本の外壁塗装は再現出来ていない …

長年の疑問「なぜスウェーデンの建物はこんなにカラフルで美しいんだ?」を解決でき、改めてストックホルム市街地を歩くと感じるのが、

「日本の北欧っぽい外壁塗装のビルは、全然現地仕様を再現出来てないな …」

という事実です。「おいおい、日本の職人をバカにしてるのか?」と言われそうですが、僕も元職人です、そんなわけがありません、親方。むしろ逆なのです。

日本で再現されているスウェーデンっぽい外壁塗装は、質が良過ぎるのです。

ストックホルムの建物も遠くから見ると、パッと見、

「お〜、きっちり塗られている。しかもあえてまだらにすることで、デザイン性が増している … 」

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と、その美しい塗装技術に拍手してしまいそうになります。しかし!実際はかなり雑にベタ塗りして、2度塗り、3度塗りを省いたりして、ムラが激しいのが本場です。

比較的新しいビルや、金銭的に余裕のあるオーナーがレノベーションで塗り替えることはありますが、遠くからだとかなり洒落て見えるエリアでさえ、結構色むらと汚れで目立ってたりします。

少しばかりの塗り足しでしたら、素人がやってたりするのを見たりもします。もちろん2度塗り厳禁か!ってくらいムラを作って。

日本でスウェーデン調の外壁塗装を実現したい方、ムラを意識しましょう。むしろ素人品質が本場の塗装実現に重要な要素なのかもしれません。

 

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