なんだろう、この駅に降り立った瞬間、僕は何とも言えない気分になりました。

センターに衝立が存在しない、見晴らしの良いプラットフォーム。

霞みがかった白色の天井や壁が果てしなく続き、そこに継ぎ目のない電光が途切れることなく光を発しています。

極限までシンプルに作られたこの駅が、他とは全く違う雰囲気を持っていたからか、すごく良い居心地がしたんです。

それが地下鉄 Green Line の Bagarmossen Station です。

 Bagarmossen

Bagarmossen はストックホルム市街地から南へ行った、住宅街にある Green Line の駅です。

僕もこの駅に来た時は辺りを散策してみましたが、郊外にある住宅街ということもあり、特段目立つものがない場所でした。

どうしてこんな何の変哲もない場所(駅)に、Stockholm Subway Art を代表するアートが設けられたのでしょう?

それはこの駅の歴史と関係があるようです。

 取り壊された旧駅

Photo: Wikipedia

Bagarmossen Station は、ストックホルム地下鉄駅の中で、唯一の閉鎖を経験した駅でした。1958 年にオープンしたこの古い駅は、当時 Green Line 17 番の終点駅として地上界に存在しました。

その後 1994 年に地下鉄ラインが南方 Skarpnäck へ拡張されるのにともない、この駅は地下へと新たに移動(新設)されたのでした。

この新設された駅をデコレートするアートは、この場所を表現するものではないとアートガイドの Marie Andersson さんは言います。

しかし、そのデザインは Marcus 氏の作品の特徴でもある “継ぎ目のない色の変化” を採用しているのだそうで、時代が変化しても形を変えて続いている Bagarmossen の駅を象徴しているのかもしれません。



 Seamless Transition

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実際の Bagarmossen Station は、写真よりもやや薄暗いため、プラットフォームの壁に彩られたシームレススクリーンの色の変化が、独特な雰囲気を醸し出しています。

数秒に一度変化していくスクリーンの色が、まるで時勢(時の流れや変化)を表すかのごとく、なめらかで時に豪快で。アートの奥深さを感じます。

冒頭で言った居心地の良さは、この何もないプラットフォームに、両サイドにスクリーンという Less is More さが自分の心に響いたのかもしれません。

Stockholm Subway Art はゴツゴツした岩に、割と奇抜なアートが描かれていることが多いため、このような単純なデザインは逆に見る人を魅了します。ギャップ効果というやつですね。

皆さんも目の保養に訪れられてはいかがでしょうか?

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