Stockholm Subway Art(ストックホルム地下鉄アート)の中には、1目見てそれが何をメッセージとしているのか、予測困難なものもあります。

今日ご紹介する Östermalmstorg Station のアートは、最も有名な地下鉄アートの1つでありながら、そこに込められた想いはアートからは読み解けません(断言)。

僕は Östermalmstorg Art を初めて見た時、

「天に召されなかった亡霊達が、ずっと浮遊している様子が描かれているんだ。そう、何かここで悲しいことがあったんだ」

と、実は全く逆な捉え方をしていました。一応学生時代の美術の成績は悪くなかったのですが …. 。

 Östermalmstorg

Östermalmstorg Station は地下鉄 Red Line 沿いの、市街地の中心部に位置する場所にあります。

このサイトでもお伝えしています、”スウェーデンファッションブランド” の戦艦店が立ち並ぶ、オシャレスポットの地下鉄駅として、たくさんの人に利用されています。

LINK北欧ファッションブランドリスト

しかし、これまで T-Centralen(Stockholm Central)や Kungsträdgården など、市街地の中心部に位置する人通りの多い駅は、それは見事な芸術的地下鉄アートだったのですが …

Östermalmstorg に関しては …

「じ、地味!」

と正直感じてしまいました。いや、しかしこのアートにも、絶対に何かしらのストーリーやヒストリーが隠されているはず … ?



 Östermalmstorg

Östermalmstorg Station は海面下23m に位置する、ストックホルムで3番目に深い地下鉄駅です。

1965年に完成したこの駅は、ホテルやレストランが立ち並ぶ、ダウンタウンいちのオシャレで高い地区に存在します。

そして、肝心の絵についてですが、その全てが同じテイストのように見えて、実は複数の異なるアーティストに描かれたもののようです。

その中心になったのは、アーティスト Siri Derker さん(当時77歳)のスケッチで、それは彼女がこれまで手がけてきた作品や人生そのものを表すものでした。

白いコンクリートで覆われた、真っ黒な石壁に刻まれたイラストや文字。それらは Peace(平和)を表しているのだそう。

アートの中にいる人々は、環境や女性の人権問題に取り組む人々で、それぞれフォルムの違う文字は、異なる言語で “Peace” と書かれています。

彼女は生涯、女性の人権向上のための運動に参加していたようですが、そのことをプラットフォームの駅に描き残し、女性の人権問題を社会へとアピールしたのです。

先ほど触れた「女性の人権問題に取り組む人々」とは、彼女が所属した「The Fogelstad Group」という女性アート団体のメンバーのことのようです。

そう、これらは女性の社会的地位向上への想いを描いたアートなのでした。

誰だ、天に召されなかった亡霊とか言ってたやつわ …

 Östermalmstorg

この Östermalmstorg Station の女性の人権運動に尽くした人々を表すアートは、その深いメッセージ性とは裏腹にやはりシンプルなスケッチです。

この駅も初めて降り立った時、「この駅で合ってったっけな?」と感じるほど、プラットフォームの壁や天井含めあっさりしていました。

しかし、このノートの隅に描いたようなスケッチが、なんだかとても懐かしく、1つ1つ見ていくと、確かにただのイラストではないことが分かってきます。

声高らかに何かを叫ぶ女性が描かれていたり、自然の中で何かに取り組む人々が描かれていたり、やはりそこに込められたメッセージを知ると、このようなシンプルな作りの駅でさえ、感慨深いものに変わります。

地上に上がれば、買い物客や観光客でごった返す賑やかなこの地区も、地下深くのこの駅のプラットフォームににたどり着くと、社会には何かしらの問題に取り組む人達が、目立たずして存在していることに気付かされます。

知らないところでいつも誰かが戦っている … ?

もしかするとこのこと自体がこのアートに込められた想いなのかもしれません … 。

*** ストックホルム地下鉄アートの全駅一覧をアップしました。皆さんのお好きなデザインはどちらですか?ご意見お待ちしております。

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