自分自身が留学先を決めるうえで外せなかったポイントが、「滞在先は可能な限り大都市に」という点でした。何かの標語みたいですが、自分自身の経験をもとに言うと学校選びより重要なんじゃないの?と思えるほど重要です。

以前僕はイギリス第四の都市と呼ばれる”田舎” に滞在していたことがあったのですが、出来ることと言えばパブに行って飲むくらいで、本当に滞在する土地の経済規模がいかに自分の生活にダイレクトに影響してくるのかを肌身で感じたことがありました。

ですので、今でも留学の相談を受けた時には必ずその重要性を言及します。逆に言うと「田舎は飽きる」と。

実際に学校生活以外から学べることも本当に多いと思うんですね。

僕が住んでいたウプサラという街は首都ストックホルムから電車で1時間でしたので、自分の中では十分許容範囲内でした。

予想していた通り、ほぼ毎日ストックホルムへ行き、SUP46 の活動やその他スタートアップイベントやワークショップに参加したりと充実した日々を過ごせました。

しかし、それでもストックホルム拠点の大学院に通うのと郊外地域の学校では色々と大きな違いがあります。特に、インプットする機会が与えられるか否かという点では、差は歴然です。

スウェーデンは元々、産官学共同でプロジェクトを進める文化が根付いています。ですので、その都市の経済規模、学校数や学校の規模が大きければ大きいほどプロジェクトのスケールも拡大する傾向があります。

また、ストックホルムで開催される多くのビジネスイベント、とりわけスタートアップ関連の大きなイベントはストックホルムベースの大学、市、それから現地インキュベーター/ アクセラレーターや企業とのコラボで開催されることが多々あります。

ゆえにプロジェクトに携わっている大学の在校生は運営側として参加が出来たり、またはゲストとして無料で参加出来たりと恩恵が本当に多いのです。

他校同士の交流も生まれ実際に学校の枠を超えて学生がプロジェクトを立ち上げた例も多々あります。

そして、何より学問に身を置きながらも産業に近い状態で学びを得られるというのが、学生にとっては最大のベネフィットではないでしょうか。

そういった流れの中で、市(ストックホルム市の職員)は学生や研究者などアカデミアに近い人達にもっと自分達が取り組む課題に携わって欲しいと考えるようになりました。結果として、ユニークな目的を持ったコワーキングスペース Openlab がオープンしました。

Openlab

Openlab はスウェーデンの名門工科大 KTH(王立工科大学)のすぐそば(と言うか敷地内)にあるコワーキングスペースです。

タイトルにある通り、ストックホルム中の学生、研究者、教育者が集まり、首都ストックホルムが直面する様々な課題に取り組むことを目的とした新たな形態のラボで、「持続可能な都市発展」、「住みやすさ」、「高齢化問題」、「医療」など多岐にわたる問題に取り組んでいます。

ちなみにストックホルム中とは市立ストックホルム中学校という意味ではなく、Karolinska Institutet(カロリンスカ研究所), KTH Royal Institute of Technology(王立工科大), Stockholm University(ストックホルム大) and Södertörn University(ソダートン大)などのストックホルムに拠点を置くという教育機関という意味です。

Openlab すぐ横にある謎の球体 Dope of Visions(KTH 所有)。開発した新たな技術の展示やカフェなどが併設されている。内部は意外と広くてアスレチックのようで暴れたくなるやつ。

“We make Stockholm a global center for societal challenges improving quality of life.”

Openlab は成長都市が抱える(ストックホルム)複雑な社会問題を解決するために、革新的な提案をし続けることを自らのミッションとし、そのために多くの学問分野にまたがる人財を集め、新たなアイディアの創造に重きを置いています。

そのツールとして彼らが使っているのが Design Thinking (デザインシンキング)です。

Design Thinking

Openlab は現地でアイディア発掘の聖地(コワーキングスペース)と呼ばれているのですが、その主な理由は彼らの提供するワークショプやプログラムが Design Thinking (デザインシンキング)メソッドを用いて進められているからです。

Design Thinking とはなんぞや!?

というのはまた別の機会に詳しくご説明しますが、簡単に言うとユーザー体験をもとに新しいアイディアを生み出す思考手順のようなものです(合ってるのかこの説明!?)。

Openlab が Design Thinking を採用している理由が、彼らが取り組む複雑な社会問題にはユーザーを中心にして解決策を策定する必要があり、それこそがまさに Design Thinking が最も重要視する原則であるため最も適したメソッドだという認識なんだそうです。

Openlab が主催する Design Thinking ワークショップには学生や研究者、彼らとパートナーシップ関係にある公的機関の職員なども参加し、様々な視点で Design Thinking メソッドを活用し、ユニークなアイディアの創出に取り組みます。

このワークショップは Openlab の Design Thinking コーチやプロジェクトコーディネーターによって運営され、僕も参加したことがあるのですが進行がすごく上手だなと感じました(スタートアップイベントは結構司会者がラフ過ぎて下手な場合がよくあるんです)。

この Openlab にはストックホルムでも有名な Design Thining のスペシャリストが “ムードマネージャー” というよく分からないポジションで活動しています。それが Geert Van Den Boogaard さんです。

彼は元々工業デザイナーなんですが、とりわけ Design Thinking とその研究に長年従事してきました。

産業分野にも詳しくかつアカデミックな側面での Design Thinking にも精通しており、外部講師として数多くのワークショップを率いてきました。

Openlab :Geert Van Den Boogaard 氏

僕は以前 EIT Health というヨーロッパ各国で開催されるかなり大きなスタートアップイベントに Design Thinking コーチとして参加する機会がありました。

その事前ミーティング&トレーニングに講師の1人として来ていたのですが彼だったわけですが、さすがその道のプロ。説明は上手いわ、何聞いても明快に答えるわ、性格穏やかだわ、で Design Thinking への理解がより一層深まりました。

Openlab Podcast

Openlab は MATLABORATORIET というポッドキャストもすでにローンチしています。

内容は主に食、自然科学、社会など割とかためのテーマが となっています。

スウェーデンにおける食に関してや、社会問題などに興味がある方はネタを拾い上げる目的で聞くのはいいかもしれませんね!

面白いのが、エピソード毎にその取り上げた問題やチャレンジに対するリスナーのアイディアや提案を募集しています。

彼らのアイディエーションプラットフォーム Develop Your City で考えをシェアすることが出来ます。

Open Cafe

営業時間:Monday – Friday: 8:00 ~ 17:00
Contact: info@opencafe.se

定番ですね、Openlab も Open Cafe というカフェをワーキングスペースに併設しています。

その名の通りオープンカフェで誰でも利用が可能です。特段他のカフェと違うところはありませんが、しいていうなら広々としていて開放感があるところでしょうか。

他のコワーキングスペース関連のカフェはスペースが小さかったり、机と椅子を所狭しと並べていたりするのですが、Open Cafe はある程度の距離感を他の利用者と保てるので、リラックスして時間を過ごせる印象を持ちました。

 

Openlab は KTH の学生との繋がりが特に強いので、Design Thinking に興味がある方だけでなく、工科大学の学生とコネクションを築きたい方にとっても最高の場所かと思われます。ぜひ!