プログラム開始初期に他大学とは異なるアクティビティを享受できる Lund University Entrepreneurship Program。

Sten K Johnson Foundation と IDEON からの恩恵はその後も続きます。

中後期も実践が続く

これは僕たちウプサラアントレでもあったことですが、Lund も当然ゲストスピーカーを招いたり、IDEON で産業側の人々と交流をはかる機会が度々あるようです。

学内ピッチについても、ウプサラのように成績指標のための講師陣向けプレゼンではなく、一般からオーディエンスを募り大きなイベントとして開催されるものがいくつかあります。

The Student Start-up Demo Day や Dragons と呼ばれる、アントレプログラムの枠を越えて、ルンド大生や周辺インキュベーターのメンバーがアイディアをピッチするイベントなどです。

IDEON のメインフロアにブースを設け、実際に投資家なども集まります。僕がこれまで参加してきたスタートアップイベントのブースとなんら違いはありませんでした。

Dragons は Dragons Den と呼ばれるヨーロッパ版マネーの虎を、Sten K Johnson Center for Entrepreneurship がアントレプログラムの行事の1つとして始めたことが起源のようです。

毎年ベニューは Lund Cathedral を貸し切り、ジュリー(審査員)も学外から招待したりと、まさにマネーの虎。なかなかお金を出さないと他の虎に指摘され、怒って退出した堀之内社長を思い出します。

全然関係ないですが、昔出席した堀之内社長の講演はおもしろかったです。

スタートアップが多数入居する IDEON のピッチコーナーでも、ルンド大生が自分のアイディアを産業側に披露する機会が度々設けられ、「常にアイディアを考え続ける必要性を植えつけられるようだった」と実際にプログラムを受講した人(スタートアップイベントで会った)は言っていました。


国内アントレプログラムで最もスタートアップ排出数が多い

Sten K Johnson Center for Entrepreneurship が最も誇るべきなのはこのプログラムから過去にいくつものスタートアップが生まれたという事実だと思います。

現時点で38のアクティブスタートアップ(日々数は変わります)が日々活動し、いくつかの企業はコンテストで賞を受賞したり、スケールアップで国際化に取り組んだりと注目を浴びている企業も。

当然プログラムはこれらの卒業スタートアップをゲストで招いたり、各スタートアップが開催するイベントに参加する機会を生徒にオファー出来たりと、強い結びつきが生まれています。 

【99%の失敗が潰せる】起業の科学 スタートアップサイエンス

僕もこの中で興味があった企業が1つあったので、インタビューのようなかたちでお話をうかがったことがあります。それはまた別の機会で。

大学発スタートアップからのオファー

さらに、プログラムから多くのスタートアップが生まれた事実は、ベンチャーで働いてみたい学生にまた新たな機会を与えます。

ルンド大発のスタートアップは多くが Lund や Malmo 近郊を拠点に活動しています。

今現在もサバイブするスタートアップは成長を続けており、それに伴い人材確保が急務となります。

Sten K Johnson Center for Entrepreneurship が他大プログラムと異なるもう1つの点として、そういったスタートアップと学生をコネクトするリクルートの役割を、率先して行なっていることが挙げられます。

例えば、EARIN(世界で初めてワイヤレスイヤフォンを開発した企業)はルンドアントレプログラムの卒業生ではありませんが、創業者がルンド大出身でルンドをベースとしていることもあり、Sten K Johnson Center にもリクルート依頼が来たりするようです。

それ以外にも様々な先進技術を持つスタートアップが、人材確保のため Sten K Johnson Center を頼る状況があるようです。

学業修了した後、現地のスタートアップでの就労まで考えている方にとって、この事実は非常に心強いものだと思います。

と言うのも、大学・大学院の学生ビザは、当然プログラム終了のタイミングで切れます。しかしスウェーデンでは、申請すればその後6ヶ月間「就職活動期間」のための延長期間が与えられ、安心して職を探すことが出来ます。

しかし、留学生が6ヶ月以内にコネなしで正社員として職にありつくことは、そう簡単なことじゃありません。以前お話したように、今でも多くの企業が必要条件に「日常会話レベルのスウェーデン語」を設けたり、英語だけで生きていける社会でありながらスウェーデン語が必要とされるケースがあるからです。

またスウェーデン企業は、志願者の合否安定を出すのに最終面接から数ヶ月かけるということも稀じゃありません。僕の友人でも6ヶ月後に急に企業から採用の連絡があり、「受けたことすらわへーとった(忘れとった)と、面食らっている人がいました。

そういった現状を踏まえると、Sten K Johnson Center を通してスタートアップで働く機会を得ること自体が、ビザ取得面でも有利に働くことが考えられます。


学業環境と外部環境とのバランス

ルンド大学のアントレプログラムが他大学と比べ、ファンディング、学業の環境、卒業スタートアップとの結びつきの面で頭一つ抜けている理由を3回にわたりお話しました(もしかすると頭二つかもしれません)。

しかし、それでも僕は第二希望のウプサラで良かったと思います。それは課外活動という意味では、ストックホルムに勝る街はスウェーデンにはないからです。

各大学のアントレの受講感想をまとめた記事でルンド大生が言ったように「どれだけコース内容が充実していても、課外活動でもスタートアップ関連のアクティビティに携わりたい欲は必ず出る」ということです。

そういった意味で、学業の環境と外部環境のバランスを見ながら、進学先を決めることが大切なのではないかと僕は考えます。

1
2
3