スウェーデン・ ウプサラの街で、大学院に通いながら子育てに励んだ Nataly。しかし、思わぬかたちで子供(Sebastien)が学校でトラブルに巻き込まれます。

LINK【スウェーデンで子育て】国内随一の国際色豊かな街、ウプサラで経験した子育ての意外な苦労

異国での生活(子供の教育)が難しいことを、あらためて知る機会だったと本人は言います。

そんな Nataly は Sebastien の学習環境を変えるべく、新たな住環境を求め、現地の人にアドバイスを求めたり、自分で足を運んで目星をつけた街の様子を確かめたりと、仕事の合間をぬって奔走します。

しかし、なんのツテもない外国人である彼女が、そう簡単に新たな住処を見つけられるわけもなく、期待をして行ってみては思ったより環境が良くない、アパートの賃貸契約が結べない、学校が近くにない、など色々と悪戦苦闘したようです。

それでも負けずに「いつか良い場所が見つかるはず」と終わりの見えない作業を続けられたのは、やはり愛する Sebastien のためだったと彼女は振り返ります。

まさに、母親の鏡です。

そうして紆余曲折した後、最終的に落ち着いた場所が、ストックホルム郊外にある Täby(タビー) という街でした。



Täby

Täby はストックホルム北東に位置する、小さく長閑な町です。ストックホルムから電車で数十分の距離にありながら自然が多く、その土地柄ゆえに落ち着いた住環境を求め移り住んでくる人が多いそうです。

現在、約7万人がこの町に暮らしていますが、毎年人口が増えている隠れた人気住宅街という一面を持っています。

何度かこの町を訪れたことのある僕は、生っ粋のスウェーデン人が多く住む町という印象を持っています。これは駅周辺を歩く人だけでなく、住宅街へ入っていくとよりその印象が強かったです。

そして、Nataly はその点を一番の優先事項に捉え、この地を選んだと言います。

前回の記事で Nataly が子育て予定の外国人にするアドバイスとして、「子供が入る可能性のある学校は、可能な限りスウェーデン人率が高いこと」を挙げましたが、その理由を聞いてみました。

穏やかな気質のスウェーデン学生

最近はゆっくりと料理をする時間も出来、生活の安定を実感する Nataly

ーーー スウェーデン人の子供率が高いクラス(学校)ってそんなに違うの?

Nataly:ウプサラ時代に Sebastien が通っていた学校と比べると、「天と地」ほど違うわね。

ーーー 「天と地」か 笑。大分違うね。

Nataly:Sebastien も実際私に言ったことなんだけど、スウェーデン人の子供って気質が穏やかな印象があるわ。多分小さい頃から道徳教育がお家で行なわれていると思うの。相手の意見を尊重したり、意見が食い違っても相手に手をださないとか、肌の色で差別されることも全くなくなったって、Sebastien も安心して学校へ行ってる。スウェーデン人って教育水準が高いってよく言うけど、単純に勉学だけじゃなくて、道徳のことも言っているように感じるわ。実際、モラルを持った人が多いじゃない?

ーーー 確かにそうだよね。ヨーロッパで最も人道的な国民性って言われるのは、彼らの道徳の高さが関係しているって思うし。他にスウェーデン人の子供の多い環境でメリットに感じることってあるかな?

Nataly:あるある。スウェーデンのクラスメートから学ぶことは Sebastien も多いみたい。私の母国ボリビアって今も詰め込み型教育なの。あれもこれもしなさいって、学校や先生が上から圧力をかけて生徒に勉強を強要する感じ。でもこっちはそんなことはしないし、生徒の自主性を重んじるように、先生が生徒に好きなことに集中していいんだよって導くの。スウェーデン人の子供は自分が興味あることとないことを取捨選択して、賢く時間を使っている印象を受けるわ。良く言うとメリハリがきいてる、悪く言うと頑張りすぎないって Sebastien が言ってるわ。実際、勉強に意欲的になり過ぎてもっともっと学ぼうとすると、「ちょっとあなた頑張り過ぎよ」って先生が止めてくるみたい。その点あまり切磋琢磨出来なくて本人は物足りないみたい。で、結果 Sebastien 飛び級したの。

ーーー そうなんだ!すごいね。Nataly は Sebastien に自分みたいに「もっともっと勉強に励むタイプ」になってもらいたい?それともスウェーデン人っぽいっていうか、「無理して頑張り過ぎない」国民性を身につけてもらいたい?

Nataly:ん〜、それは難しい質問ね。両方良い点悪い点あるからね。でも基本的には Sebastien に任せるわ。勉強を突き詰めたければ頑張れば良いし、もう少しリラックスしたスウェーデンのライフスタイルが肌に合うんだったらそうなれば良いと思う。スウェーデンに根を置くって決めたから、後者についてはいずれにしてもきちんと理解して暮らしていかなければいけないと思ってるけどね。

将来は科学者兼プロサッカー選手を目指す Sebastien。現在3ヶ国語話者で日本語勉強中

ーーー Sebastien は今学校楽しい?

Sebastien:うん、すごく楽しい。先生が「静かにさえしてたら何でもやっていい」って言ってくれるし 笑。あと、今サッカークラブに入ってるんだけど、この前チームがトーナメントに出場して僕 MVP になったんだよ。

ーーー すごいやん!じゃあ友達とも仲良くやってるんだね。

Sebastien:うん、友達はいっぱい出来た。ウプサラのクラスメートは本当に嫌なやつばっかりだったけど、こっちの友達はみんな優しいから 笑。あと、近所の人も優しい人が多いよ。

ーーー 良かったね!ひょっとしてもう彼女出来たの?笑

Sebastien:(無言でニンマリしながら首を横に振る)

ーーー (「子供にアホな質問したな」と心の中で自分を戒める僕)



親子の絆

Nataly は自身の苦労した経験から、スウェーデンに移住し子供を学校へ行かせる人へのアドバイスとして、「スウェーデン率の高い学校を選ぶこと」を挙げました。

それは移民家庭の多い学校の大変な状況を肌身で感じると同時に、スウェーデン人の子供の道徳観の高さにも驚かされたことが大きいと話しました。

結果として冒頭で述べた、スウェーデン人居住者の多い Täby という閑静な住宅街を選び、現在は親子ともに安定した生活を送ることが出来ているそうです。

一方で、自画自賛しない性格のため、彼女はあまり自身の行動については触れませんでしたが、やはり異国での新しい生活においては、親が子供のちょっとした変化に気づいてあげられるかどうかが重要だと僕は感じました。(当然これは移住に限ったことではありません)

治安・社会が安定していると評されるスウェーデンでさえ、子供が学校でイジメを受ける可能性があることは覚悟し、いざ問題が起こった時に自分が行動を起こせる時間の余裕、心の余裕があるかどうかが大切なんだと再認識させられました。

そして何より、あの困難を乗り越えた一番の要因は、親子の絆の強さであることは言うまでもありません。

*スウェーデンに留学・ワーホリ・移住予定の方向けの、スウェーデンの生活にまつわるページを設けました。子育て、教育費、給料、税金、不動産売買、などなど包み隠さずお話しています。是非お立ち寄り下さい。

LINKスウェーデン留学・ワーホリ・移住予定者必見のページはこちら