「美術館と博物館はもうええわ」一度スウェーデンで出会った、日本人お父さんの言葉です。

彼は奥さんと旅行会社のツアーでスウェーデンに参加されたようでしたが、まわる場所まわる場所が美術館&博物館で、もうさすがにお腹いっぱいという感じでした。

確かに、スウェーデンカルチャーや人、音楽、ファッションなど、あらゆる観点からこの国に興味を持たないと、観光は楽しめないものなのかな?と僕にとっては感慨深い会話でした。

似た場所への観光にうんざりして手に取った Bar のビールは¥1,500。タバコも吸う場所がない。お父さんはそんな愚痴もこぼされていました。恐らく彼はドイツへ行くべきだったでしょう。

ストックホルムの穴場情報をこのサイトでも発信している最中なんですが、その最たるものと言える観光地が市内にはあります。もちろん美術館や博物館の類ではありません。

そのお父さんがその後そこを訪れたかどうかは分かりませんが、スウェーデン観光では外せない場所でしょう。

それが、スウェーデンを代表する建築家(故)、エーリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund)が、その建築に生涯をかけた世界遺産森の墓地(Skogskyrkogården)」です。

僕は妹が建築家なこともあって「絶対に見てきてね」と、スウェーデンに渡る前からこの場所を知り、訪れるのをずっと楽しみにしていました。

森の墓地にそびえ立つ「森の火葬場」「十字架」は圧巻です。



 北欧建築の雄・Erik Gunnar Asplund 

Photo: Wikipedia

北欧建築を語る上で外せないのが、20世紀の建築家たちに多大な影響を与え、北欧近代建築の礎を築いたスウェーデン人建築家・Erik Gunnar Asplund 氏。

彼は王立工科大学(KTH)で学んだ後、建築家として頭角をあらわすも、55歳でその生涯を閉じるという非常に早逝な人生を送ります。

早逝ゆえに国外に作品を残すことは出来なかったようですが、世界遺産の森の墓地だけでなく、「ストックホルム私立図書館」など、スウェーデンを代表する建築物をつくったことでも知られ、今なおレジェンドとして後世に語り継がれているようです。

 森の墓地(Skogskyrkogården)

ストックホルム中心街から森の墓地への最も簡単な行き方は地下鉄です。

T-Centralen(地下鉄ストックホルム中央駅)で「緑色のライン Farsta Strand(方面) 行き」に乗り、「Skogskyrkogården 」で下車(約14分)。駅の改札を出て右に進みます。

圧倒される程迫力のある街路樹トンネルを抜け、右手に森の墓地入り口があります。駅から100m ほどの場所にあるので、迷うことは絶対にありません。

改札を出て右だけ覚えておきましょう(改札は1つだけです)。

 街路樹のトンネル

一瞬見た瞬間にたじろぐほどの迫力を感じるのが、「森の墓地」、ではなく途中にあるこの街路樹のトンネルです。意図的に作ったのか、たまたま出来たのか分かりませんが、この場所がすでに「森(もり)ってます」。

「鳥の糞地獄に遭うことはないだろうか … 」

と、鳥に糞をこれまで幾度となくかけられてきた、残念なイケメンジャパニーズは恐る恐る上を確認しながら通ります。

通行人が「何やってんだこいつ」と見てきます。



 森の墓地を散策

まずこの敷地に入り視界に入ってきたのが、一面に広がる緑の芝生です。

スウェーデンがいかに緑溢れる国であっても、市街地に身を置けば都会の喧騒を避けることは出来ません。

スウェーデンがいかにラーゴム(ちょうど良い)なライフスタイルを持つのに最適な場所でも、街に出れば慌ただしく行き交いする人の群れを視界から取り除くことは出来ません。

そんな都会にある「孤立した場所」、というイメージを抱かせるような静寂がここには存在します。

この一面に広がる芝生の奥には小高い丘があり、日立の樹のような樹木がそびえ立知ます。「この木なんの木気になる木~」とあの頃の CM ソングを口ずさんでしまいます。

この丘は森の墓地の共同設計者である、Sigurd Lewerentz 氏によって構想・設計された、森の墓地の中でも特別な場所となっています。

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 森の墓地の奥へ

森の墓地の奥へ進むと、先ほどの光に照らされたグラウンドとは全くの別世界が … 。森林に囲まれたエリアにはたくさんのお墓が … 。

やはりここはお墓なのだ … 。世界遺産、森の墓地と神秘的な名前に観光地と錯覚しそうだが、亡くなった方が静かに眠る聖なる場所であることを思い出します。

この静寂は行ってでしか感じることが出来ません。

ずっとこの辺りを行ったり来たり。自分がどうやって戻って来たのかも忘れるほどに、「無」になれる場所でした … 。

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