Foundation of Entrepreneurship はウプサラアントレコースの一発目の科目で、現在の Opportunity Recognition and Development も部分的にカバーしていた、本当にビジネス学習の基礎のようなものでした。
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「そんなにアントレ的要素含んでないよな」
と多くのクラスメートが感じるほど、授業内容がはっきりしていないというのが全体を通しての感想だったんですが、順を追って見ていきましょう。
アントレコースはどこもワークショップ始まり?
ウプサラアントレの始まりは自己紹介とクリエイティビティを試すワークショップです。その前に各々一杯のファンタグレープと飴玉3つが配られます。
今思えば糖分で脳を活性化しておけということだったのかもしれませんが、その時はふと糖尿病のおばあちゃん(Hisu-Chang)のことを思い出し切なくなりました。
さて、僕たちがワークショップで命じられたのは、
▪️布と紙とストローと輪ゴムを用いて2メートルの高さから生卵を落としても割れないクッション作成せよ
でした。この手のワークショップはどの学校のアントレコースも序盤に設け、クラス内のコミュニケーション促進の意味もあるようです。学校によっては実際に生徒に予算を持たせ、数日単位の短期プロジェクトを命じたりもするようです(Lund など)。
みんな各々思考を凝らして卵を守ろうと頑張ります。でも生還したのは7チーム中、1卵のみでした。スタートアップの生存率を示すような結果でした。
コースの文献
購入する必要があるかどうか?ですが、図書館で1〜2冊ストックがありますが、基本誰かに借りられているので、購入は必須です。
この本は経営学理論などの解説がメインですが、それプラス近年成功しているベンチャービジネスをケースとして取り上げており、読み物としてはそんなに退屈しなかったです。
毎回宿題として50〜60ページ読むことを求められます。そして毎回読んだ内容は授業で使いません。
さらにもう少しアカデミックな分野を学習するため、「創造的破壊」を提唱したショーンペーター氏やその他のクラシックな経済学者の論文(配布される)を宿題で読む必要があります。
ですので、毎回課題で読む文献の量は100ページ近くあり、なかなか毎日眠いです。くどいですが、次の授業で何か文献に聞かれることはありません。「なんやそれ!」と毎回思いながら夜更けまでリーディングしていました。
課題として読む文献はこの他に授業で使うケーススタディなどがあります。ウプサラアントレのケーススタディは全て Harvard Busines School で使用するもので、なかなか読み応えがあります。
授業は信じられないくらいゆるいですが、リーディングのボリュームはかなりありました。
授業内容
スケジュール
1:Entrepreneurship – An introduction
2:Myths and facts about entrepreneurship
3:Entrepreneurship – Conceptual foundations
4:The discovery of new business ideas – Conceptual foundations
5:Evaluating new business ideas
6:Business model and business plan
7:Industry analysis – Conceptual foundations
8:Industry analysis – case application – Norton
9:Selling and marketing the new product/ services & Guest speaker
10:Selling and marketing
11:Financial analysis – Foundations
12:Financial analysis – Applications
13:Financial analysis – Applications 2
14:Pitching your business ideas
15:Pitching your business ideas 2
授業は決められたその日のテーマによって、講師(ドイツ人女性)がランダムに話をしながら白板にメモを書いていくというような典型的なレクチャースタイルでした。時折講師が軽く質問を投げかけますが、ランダムに生徒が発言する感じでインタラクティビティはほぼ皆無。
ケーススタディも授業期間1ヶ月のうち、2ケース(3授業分)のみでそれもディベート形式ではなく、数名でチームを組んで見識を発表する程度です。
この Foundation of Entrepreneurship の主な目的はアントレという学問の成り立ちを学ぶ意味でクラシックな経済学を知ること、経営に必要な基礎的知識(プロダクトライフサイクルや PPM、SWOT、etc)を学ぶ機会を与えるということだったようです(コースディレクター談)。
スケジュールは一見アントレに関連してよくデザインされたもののように見えますが、「本日は1960年代のアントレに関係した経済学の授業」、そして翌日は「今日のテーマはSWOT分析について〜」、その翌日は「会計について学びま〜す」と、あまりアントレ的要素を含んでいないものも多く非常に幅広い印象でした。
正直、いったい何に重きを置きたいのかはっきりしていないのと、授業どうしが関連し合わないため、今思えば最も不満の残った科目でした。経営知識に関する授業も職歴のある者からすれば「今さら?」なものが多く、特段新たに得た知識はありませんでした。
またこれはコース内容だけでなく講師自体にも問題があり、今まで教壇に立ったことがない全くの素人で、言っていることや授業の方向性がブレブレだったことも関係しています。
現在メイン科目の1つとなった Opportunity Recognition and Development に関しても、ベンチャーアイディアを発見する機会についてやその昇華方法など深く掘り下げたものではなく、心理クイズや質問に答えるといった単純なものでした。
成績
成績は70%が試験結果、残り30%が何回か出されたレポートと授業への積極性で出されます。
試験は一般的なタイプの学校へ来て試験管に見張られるものではなく、自宅で Web 上に解禁された課題を3時間以内に仕上げ、システムにアップするというものでした。「どんだけゆるいねん」と思っていたのも束の間、質問数がめちゃくちゃ多く、全て論文形式で仕上げる必要があったので終わる頃には「どんだけ時間足りんねん」と手が痙攣していました。
各質問に授業で取り上げた経済学者の見識や、経営セオリーを織り交ぜながら答える必要があり本当に時間が足りませんでした。
総評
こちらの科目の感想ですが、シンプルに ×(あかん)でした。僕ももっと別のアプローチで授業に取り組むべきだったか?など、自分自身の非をあら探ししましたが、「いややっぱこいつ(講師)があかん」と大人気ない結論に至ってしまったのです。
ですが、自分自身も相当な覚悟(やる気)でスウェーデンに渡ってきたので、期待しすぎていた感は否めません。しかし、教えるのが下手でも「せめて仕事なんだからベスト尽くせよ」と言いたいのが本音だったんです。明らかに手を抜いていましたからね。
「と言うか、海外の大学院て寝る間ないほど忙しいんじゃなかったっけ?」とただただ不思議な感じでした。
本当に鬱憤の溜まった1ヶ月でした。ちなみに僕と同じくイライラしていたのが、1年を通してずっとプロジェクトを共にしたボリビア出身の Nataly(女性既婚者)。
彼女は SI の奨学金をゲットし(しかも2回目)授業料免除でウプサラに入学したのですが、彼女の旦那さんが KTH のアントレを受講中で、同じくクオリティの低い授業に愕然とし「子供もいるのに夫婦で仕事をやめてまでこっちに来たのに …。」と僕とはまた違う事情で怒っていました。
2人で「この先絶対に良くなるからポジティブに行こう」と誓い、最初の1ヶ月を終了するのでした。