この理由ですが、表向きは「スウェーデンはチームプレイを重んじる社会だから」で、実際は「時間がない」からだとアントレの講師は教えて下さいました。
ゆえによほどの例外的な理由がない限り1人で修論を書くことは認められません(2年のプログラムは1人修論です)。
ウプサラの1年マスタープログラム(1年)は3月末に授業が全て終了し、4月〜5月は卒論に集中する2ヶ月となります。論文のデッドラインが5月末ですので、2ヶ月間で終わらせなければ卒業が認められないのです。
さて、ウプサラの Master Thesis はどんな模様だったのか!?
Master Thesis
Entrepreneurship プログラムの Master Thesis に関する説明は、実は年初の Managing Growing Firm 1 の際にありました。Growing Firm 1 の最終課題が
・Master Thesis に直結するテーマの Review Paper をチームで作成
・Review Paper で組んだチームで原則修論を作成
とされていたからです。Entrepreneurship に関連したテーマであれば何でも良かったのですが、文献を数十冊読んで Review Paper を書き上げます。
後ほどその Review Paper が Master Thesis の Theory Section(後ほど説明) の1部となることを想定しての最終課題(Growing Firm)でした。
ちなみに Master Thesis に関する説明はディレクターと2人のメンターが行なったのですが、プログラム始まって以来初の爆睡者続出。アカデミック過ぎて皆何を言ってるのか意味が分かりませんでした。
あとから考えると内容理解しなくても十分修論は進められました。あと、この説明会の際に膨大な量の Thesis に関する資料が送られ、こちらも読みましたが全く内容理解出来ませんでした。
「考えるな、感じろ」と言われているような気が起こるほどです。
スケジュール
ちなみに僕の Thesis チームですが、Business Plan Catalyst で大揉めしたのと全く同じチーム(3人)に勝手に決められ、本当にめちゃくちゃ嫌だったので抗議を入れました。
メンバーが嫌かどうか以前に「3人で修論自体ありえねーだろ」と思ったからです。ディレクターに「3人はさすがにいけませんよね?」と聞くと、「全然いいよ」と予想外の回答をいただきまた同じ3バカで Thesis Project に取り組むことになりました。
彼らが嫌いなのではなく、本当にずっと一緒にいたので「新たな学び」を求めスウェーデン人と組みたかったのです。
話を修論に戻すと、Master Thesis の中身は展開がある程度決められています。
- Introduction
- Theory(Review Paper)
- Method(調査に関する手法など)
- Findings(調査結果)
- Discussion(調査から発見できた内容に関して)
となります。各セクションは提出期日が設けられ、提出後メンターからフィードバックを受けるセミナーがあります。その後チームでフィードバックをもとに修正を加え、上書きする形で新たなセクションを追加し提出していきます。
もちろんメンターは以前指摘した箇所が思うように軌道修正されていなければ、どんどん赤を入れてきます。最終的にフィードバック用紙が真っ赤っかになっているチームは顔が引きつっていたのを思い出します。
この2ヶ月は本当に朝から晩、週末までチームで学校に籠りきりで Business Plan Catalyst ほどではないですが色々と揉めました。
Thesis Defense
Master Thesis 最終提出日が近づくと、Thesis Defence が開催されます。修士を経験されている方であれば予想がつくかと思いますが、自分の論文に対しての質問・批判を徹底論破しなければいけない一大イベントです。
僕は日本で Master をとっていなかったのと、海外留学経験のある友人から「めっちゃつめられるよ」と聞いていたので、数日前からいい具合に緊張をしていました。
ところがどっこい当日は終始ほんわかムードで、予想していた Defense の緊張度が100だとしたら実際は5ぐらいで拍子抜けしました。
ウプサラアントレの Thesis Defense は、メンター1人と担当していた5チームが参加するだけの小規模なものとなります。事前にチームの組み合わせが発表され、相手チームの論文を他チームにプレゼンし、そのまま作成チームに論文の質問や批判をぶつける手法をとります。
その後作成チームが各質問に Defense を行なうというこれは一般的ではないプロセスなのでしょうか?よく分かりません。僕が分かるのはこのプロセスは博士課程の Thesis Defense と同じということです(1度興味本位で見学に行きました)。
総評
△に近い×といったところでしょうか。正直書く分量で言えば Master の Thesis は信じられないくらいヘビーということはないです。
時間がかかるのはリーディングと調査くらいで、ある程度のネタが揃えば一気に書けてしまうと思うからです。僕はどちらかというと Writing が得意なので4〜5月ではなく、4〜6月の3ヶ月くらい時間が与えられれば1人 Thesis の方が楽だったと思います。
それぐらいチーム Thesis は時間が拘束されますし、無駄な作業が発生しまくります。同じチームの2人は正直英語があまり長けていなく、文法がめちゃめちゃで僕がその校正役になっていました。
それがまた倍の作業負担でチーム修論へのストレスになり、終わった時は達成感よりも「これでやっと解放される〜」という気持ちの方が強かったです。
もちろん1人で修論を書くとなれば作業のボリュームは増えますが、どっちが良いかは人によりけりですね。