ここ数年、日本の政治家の口八百っぷり、学芸会っぷりには絶望を越えたものを感じています。

耳障りの良いことばかりを口にして、若者を食い物にしている場面があちらこちらで見られるからです。

「若者が活躍出来る社会を」

と唱えながら、あの手この手で若者を借金漬けにし(学生ローン、住宅ローン、不動産投資、etc)、「お国(の存続)」のためにお金を使わせ働かせるスキームは、「戦時中とあまり変わらないな」と思ってしまう、と言うと批判必至でしょうか?

ところで、そんな中高年の “政治屋” が国の舵取りをする日本とは対照的に、北欧フィンランドで政治の世界に新たな動きがあったようです。



 史上最年少リーダーの誕生

Photo: propakistani.pk

フィンランドの新たなリーダー(首相)が、34歳の女性運輸・通信相、サンナ・マリン氏に決定しました。

リンネ現首相の辞任表明に伴う選挙で、フィンランドの与党・社会民主党が、8日に彼女を次期首相に選出した結果のようです。

女性首相は同国3人目で、史上最年少であることから、連日北欧でも話題になっているようです。

日本経済新聞社の記事によれば、財務省にも連立を組む中央党首のカトリ・クルムニ氏(32・女性)が就く見通しで、福祉大国フィンランドの舵取りを2人の若い女性リーダーが担うことになります。

 就任の経緯

Photo: propakistani.pk

フィンランドでは11月、国営郵便のPosti がストライキを開始。さらに同国営フィンエアー(フィンランド航空)がそれに呼応するかたちで “Support Strike(サポートストライキ)” を実施。

275にのぼるフライトがキャンセルされ、社会混乱が拡大。この責任を取って、リンネ首相が辞意を表明していました。

政治家としての覚悟を感じます。

話は変わりますが、近年日本では政治屋の間で「不祥事は起こしたが政治屋は絶対辞めへんで」ブームが起こっているようです。

それを辞めてしまえば、どこにも行くあてがないと考えているためでしょうか。もう就活だな。

政治屋としての愚かさを感じます。

 4政党が女性党首

Photo: Lehtikuva/Vesa Moilanen via REUTERS

フィンランドは7〜12月の欧州連合(EU)議長国です。しかし、そのホスト国で先ほど言った混乱が発生しているという、対外的に喜ばしくない状況が続いていたようです。

その事態を収拾する意味でも、現首相が責任を取って辞任し、若いリーダーを選出することで、他国に威厳を示したかったのではないか?とフィンランド人の友人は分析していました。

僕が「女性リーダーという部分についても、素晴らしいと感じる」と伝えると、それはフィンランド人にとっては特別な意味を持たないと話してくれました。

実際、与党・社会民主党が連立を組む中央党など、4政党は全て女性が党首で、「政治のリーダー = 男」というステレオタイプは、もうずいぶん前から撤廃されているとのことでした。

事実、フィンランドは100年以上前にあたる、1906年に女性の被選挙権を認めた国で(世界初)、長らく女性の政治参加が国に根付いているそうです。

2020年夏に予定されている、社会民主党党首選にもマリン氏が勝利すると、フィンランド5政党全てが女性リーダー(党首)を抱えることになるようです。

与党野党ともに背広を着たおっさん連中が、自分のポジションにしがみつくこの国との差に驚くばかりです。



 サンナさんに関する秘話

ところで新首相に任命されたサンナ・マリンさん、本国フィンランドでは “あること” を理由に多くの若者から指示されているのだそうです。

それは彼女が “苦労人” であることです。

2012年、当時27歳の時に、南部の街タンプレの市議会議員として、政治家のキャリアをスタートさせました。その後4年間議長を務めるなど、順風満帆な議員生活を送ります。

しかし、その輝かしい実績とは裏腹に、幼少期は苦労の連続だったようです。

彼女は幼くして両親の離婚を経験。その後母親にシングルマザーとして育てられるものの、生活は苦しく15歳からベーカリーショップで働き、高校では学校に行きながら雑誌の配達業、若いうちから家計をサポートします。

また母親が離婚後に同性パートナーと暮らし始めたことから、家族について周りに話すことが出来ず、複雑な思いを抱きながら幼少期を過ごしたようです。

LINK【スウェーデンのLGBT事情】友人たちに色々と聞いてみた



 フィンランドの若者の意見

サンナさんは現在1児の母としての顔も持つようですが、本当に様々な苦難を乗り越えてきたいわゆる “叩き上げ” の政治家だと思います。

このフィンランドの史上最年少リーダー誕生について、現地の友人達に早速意見を伺ってみました。

予想通り、みんな非常にポジティブな感情を抱いているようでしたが、共通して言ったことは

「リーダーが “若い” ことが重要」

ということでした。その友人の1人が大事なことを指摘していました。

Satu:この国の新しいリーダーが史上最年少の女性って、やっぱり誇らしいわ。彼女やカトリさんは若い “精神” を持つスマートな人達だから、きっとこの国はまた変わると思うし、世界のお手本になって欲しい。若い人が上に立たないと、若い世代が今どういう立場なのか分からないじゃない?本気で相手の立場を理解しないと、新たなひらめきなんて生まれないと思うから。

冒頭で僕は「この国の政治屋について、絶望を越えたものを感じる」と言いました。若者が食い物にされる社会を目の当たりにしているからです。

しかし、それでも我々若い世代は政治に関心を失うべきではないと、あらためて考えさせられました。

もし関心を失えば、より一層現職の政治屋達(や官僚)にやりたい放題にされてしまうからです。

黄金時代を生きた連中が政治の世界を握り続ける限り、時間がかかっても上の世代に今の若者の置かれている状況を “理解させる” 必要があることは必須です。

しかし言い換えれば、それは「若者が活躍できる社会」の実現は当分来ないことを意味することにもなりますが … 。