Design Thinking の1番の特徴が限られた時間内にタスクをこなし、それが未完成な状態であっても次のプロセスに進む時間との戦いでした。
ストックホルムでは Design Thinking を用いた3日間ぶっ通しのスタートアップイベントが毎年開催されます。
スウェーデンで開催される最も大きなスタートアップイベントの1つとあって、ヨーロッパ中からスタートアップに興味がある人達が集まり、課題にチャレンジします。
Stockholm Startup Weekend!
制限時間は54時間、3日以内です。
Startup Weekend とは!?
Stockholm Startup Weekend/ Photo Credit by Fokus Norr
これまで120ヵ国で数千の関連イベントが開催され、アントレプレナーシップの基礎的な部分(スタートアップ企業の創設や成功するベンチャープロジェクトの着手方法)を学ぶ多くの起業家達を鼓舞してきました。
無論、人口当たりユニコーン創出数がシリコンバレーに次いで第2位のスタートアップ都市ストックホルムでも、例年多くの Startup Weekend イベントが催されます。
このイベント期間中、ビジネスマンだけでなく、経営者、起業家、マーケター、グラフィックアーティストなど異なるバックグランドを持つ人達が集まり、チームを組み、課題にトライし、解決策を見つけ、試作品を作り、アイディアをピッチします。
しかも全ての工程を54時間以内に完遂する必要があり、本当に時間と戦うイベントとなっています。
ヨーロッパ中から集まるタレント達
Stockholm Startup Weekend/ Photo Credit by Fokus Norr
スウェーデン人だけでなく、フィンランド、ノルウェーなどの北欧諸国から、ドイツ、ポーランド、オランダなど中央ヨーロッパや、エストニア、ラトビアなどのバルト3国からも参加者が多数いました。
僕が参加した時は数十人いる中で学生は僕ともう1人だけでしたので、こちらでは社会人からの注目度が高いイベントという印象でした。
また参加者のキャリアも様々。僕が一緒にチームを組んだテーブルでは、
・エストニア人女性(弁護士)
・インド人男性(イギリス投資銀行マネージャー)
・ドイツ人女性(会計士)
・ポーランド人男性(ITベンチャー経営)
・日本人男性(イケメン)
と、ガクブル級の高スペック達に囲まれ、イケメン日本人男性は絶えず笑顔だけは崩さないよう努めたそうな。
ただ、普段こういった多彩な経歴を持つ人達と意見交換する機会はまずないので、凄く勉強になったし楽しむことは出来ました。
3日間のスケジュール
ー1日目ー
1. 夕方6時頃参加者到着。提供される夕食(サンドイッチ)を手に参加者同士で談笑。
2. アイスブレークゲーム、司会・運営メンバーの紹介、Startup Weekend、プレイベント(Design Thinking)の説明。
3. チーム発表、プレイベント開始(Design Thinking プロセスで課題に取り組む)、試作品製作、ピッチ、投票。
4. 翌日から取り組む課題が決定。
5. プレイベント終了後、チームや他の参加者達と談笑。10時頃クローズ。
ー2日目ー
1. 朝から晩までひたすら決められた課題に取り組む。途中、各チームのコーチ(その業界に精通した業界関係者など)がアドバイスを与えたり、専門知識を授けたりする。
ー3日目(最終日)ー
1. 朝から昼過ぎ頃までプロジェクトの継続。
2. 試作品、そのプレゼンを3時頃には用意し練習を始める。
3. 夕方、ジャッジがイベント会場に到着。各チーム5分のピッチと3分程度の質疑応答で3日間の成果物を発表する。
4. ジャッジが優勝チームを決め、賞品が与えられる。
5. 全イベントが終了し、そこから談笑や各自で飲み会が始まる。
プレイベント
Neda Nordin/ Photo Credit by Fokus Norr
僕が参加した時は Neda Nordin という Design Thinking イベントをよく開催する方が司会・進行をし、3時間という短い時間で翌日から Design Thinking を使って課題にチャレンジするいわゆる ”ならし” を行いました。
実は彼女のイベントに3回ほど参加したことがあり顔見知りなんですが、毎回イベントは盛り上がって楽しいです。
個人的には Design Thinking そのものを理解するのには、EIT Health Innovation Day のコーチ陣の方が説明が上手でワークショックもよくデザインされていたかなーという印象ですが。
Stockholm Startup Weekend の参加者には彼女から Design thinking が何なのか、どのように問題点を正しく定義されるべきなのか説明があります。
– How to harness teamwork to develop innovative solutions
– How fast-paced time boxing can generate high energy and engagement in a team
– How to apply the tools of Design Thinking within your organization
翌日の本番に向けての練習としてはちょうど良いくらいのボリュームで、まさに It’s Lagom (ちょうど良い)な感じでした。
チャレンジ
Neda Nordin/ Photo Credit by Fokus Norr
スウェーデンだからといって毎回フィンテックなどのテック系というわけではなく、一般産業にも目を向けられ課題が設定されます。
例えば、僕が参加した1つ ”観光” の回では実際にその業界が直面している問題にフォーカスがあてられ、
“How they can solve the pains of a traveler or delight him/her with the use of different technologies from totally different industries such as IoT, Virtual/Augmented reality, Blockchain, Robotics combined with artificial intelligence and Big Data for more personalized travel.”
のように問題提起されていました。
賞品
Photo Credit by Fokus Norr
しかし、このイベント本当の意義はあなたが持っていた、発見したアイディアを発展させ、それがもし優勝しなくともあなたの将来のスタートアップに繋がるということだと思います。
そういった意味でイベント期間中に新たなビジネスパートナーや良き友人が出来たりと、非常にポテンシャルの高いイベントではないのかなと感じました。
肝心の賞品ですが、優勝チームに選ばれたメンバーには
–スポンサー企業内ワークショップに参加する機会
–専門家やコーチによる指導を受ける権利
–ギフト(例えばルフトハンザからサンフランシスコ行きの航空券)
–オンラインインキュベーションサービスの提供
–シェアオフィス企業からコワーキングスペースの提供
などなど、あなたの次のベンチャーに向けて多くの権利が与えられます。
イベント参加には費用がかかりますが、ネットワークを広げたり、今まで関わったことのない様々なバックグラウンドを持つ人達と同じプロジェクトに取り組むことが出来るいい機会になるかもしれません。
3日間は本当に忙しいですが、きっと有意義な経験になると思います。
Stockholm Startup Weekend でスウェーデンならではの多様性を感じてみて下さい。